空腹はスパイスと言うけれど限度がある 5
本日5話目٩( 'ω' )و
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(んー……討伐証明は尻尾だったよな、こいつ……)
キチンと報酬をもらうのであれば、尻尾を切り落として持って行く必要がある。
ましてや、規格外のサイズの
尻尾をもって証明すれば、追加報酬も期待できる。
(あと、毛皮も好事家には人気だったよな)
可能な限り綺麗なまま持ち帰れれば、酒代と研究資金がさらに増えることだろう。
(それと、魔宝石は心臓の近く……)
鼠系の魔獣の多くは、黒の魔宝石を持っていることが多い。
黒の魔宝石は、この近郊で採取が難しいので、ありがたく頂戴したいところである。
(骨の髄まで美味しく頂くなら、魔術で倒しちゃダメだな)
ならば、ここはまず剣で行くしかないだろう。
シャーと威嚇するように唸り声を出す
水を生み出す魔剣ではあるが、別に刀身が飾りというわけではない。ちゃんとした鍛冶師に作ってもらった一級品の剣でもあるのだ。
何より、一番の
「とっとと終わらせようぜ」
そして、そう告げるなり、バッカスは鋭い踏み込みから斬り上げを放つ。
鼻先を掠めるように放たれたそれに、
思ってた以上に臆病なリアクションに一瞬だけ戸惑ったが、やることは変わらないと、バッカスはさらに踏み込む。
だが、それを
びびったフリをして、こちらを懐まで潜り込ませる――なるほど、何をしたいのかはともかく、誘いとしては悪くない。
そこから何らかの反撃をしようと動き出す。
もっとも――
「無駄だ」
先ほどよりも疾く鋭く踏み込み、
サイズ的に首を切り落とすことはできなかったが、半ばまで切り裂かれた
流れ出る血をよけながら、バッカスは正面に回ると、今度はその眉間に剣を突き立てる。
「念には念をってな」
首の時点で致命傷だとは思うものの、狡猾で、戦闘に誘いを混ぜてくるような相手だ。このくらいはしておくべきだろう。
それから少しだけ様子を伺い、完全に絶命したのを確認してから、バッカスは左腕につけた腕輪を右手で撫でた。
腕輪に付いた銀色の魔宝石が輝くのを確認してから、その魔宝石で
すると、その魔獣の死体は光に包まれたあと、腕輪の中へと吸い込まれていった。
「尻尾は帰ってから切ればいいか」
切る前に収納してしまったことに気づいたが、それは脇に寄せることにする。
それから青の魔力を練り、意識の中で魔力帯を織る。続けて、術式を描く。
投射した術式には、幻影の子神を中心に消去と除去を意味する内容が刻みこんだ。
それらを周囲の逆さ
「
瞬間。
「そこの隠れてる奴。そろそろ出てこい。
お前の友達が無事だった場合、パニックを起こしてる場合がある。見知らぬ俺より、お前が声を掛けた方がいいはずだ」
もっとも、喰われて骨だけになってた場合は、茂みから出てきた少女がパニックを起こすだろうが。
その場合は気絶させて連れ帰るだけだ。
「あの……」
「付いてきたコトはマイナスだが、身の程をわきまえジッとしてた点はプラスだ。理由も考えず俺のやり方に口出ししてくるようなマネをしなかったのも良い。
冷静に街へ戻ってきて
魔術士見習いとしても、駆け出しの
彼女が何かを言う前に、バッカスは一方的にそう告げると、巣穴に向かってあるき始める。
「行くぞ。遅れずに来い」
そうして、少女は無事に誘拐された友人と再会する。
その横で――
「うおッ!? コロゲ鳥じゃねーかッ! こんなのも誘拐してたのかあの鼠ッ! コロゲ鳥のモモは唐揚げにすると旨いんだよなぁ……こっちの蛇は――これ、
レアな生き物や、美味しい食材などが、麻酔毒で寝ているようだ。
それらを丁寧に捌き、血抜きをして全て腕輪の中へと収納していく。
この森には、元々
だから、安全に餌を誘拐してきて、確実に食事を得ていた。
サイズが大きくなったのは、そういう背景もあるのだろう。
「ちょっとッ! 友達が衰弱してるんだけどッ!」
「ただ衰弱してるだけだろ。麻酔毒の影響が抜けきってないんなら、安静にさせとけばいい。体調が悪そうなら、
「ほんとッ、こいつ大嫌いッ……」
背後で少女が犬歯を剥いて呻くのも無視して、バッカスは巣穴のお宝の物色を続けるのだった。
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準備が出来次第、次話を投稿します٩( 'ω' )و次で本日分はラスト!
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