第11話 中世最高内閣を作れ・その2
中世最高の内閣を揃えるべく、俺達はそれぞれに調査を開始した。
すると。
「俺こそは最高の◎×大臣だ」
と自己アピールするものの多いこと、多いこと。
現実の世界でも「そんなに大臣になりたいものなんだろうか?」と思うものだが、天界でも同じだった。
三日間話をしたが、もうヘトヘトだ。
『随分と疲れているようね、奥洲天成』
「何て言うのかなぁ。おまえ、自己分析と客観的評価が全く合ってねえよという奴が大勢いすぎる」
『世の中そういうものよ。貴方も中世世界に散々転生して、自分の認識がいかに間違っていたのか痛感したでしょう?』
「……まあ」
認めざるを得ないのが悔しい。
「テンセーさーん、面会希望者がいますよ」
「またか、誰だよ?」
「オスマン帝国のセリム1世です」
「おう、通してくれ」
セリム1世がやってきた。冷酷者の異名をとったオスマン最強のスルタンだ。
「中世最強の内閣なるものを作っているらしいので、朕も売り込みに来た」
「……まあ、確かにあんたほど強ければ防……」
「朕ほど学者を大切にしたものはいない。文部科学大臣とかどうだろうか?」
「……何でやねん」
曹操もそうだったなぁ。
俺ほどの詩人はそうはいないから、文部科学大臣のような学術的な大臣だろうって。
おまえら、両方ともなるなら防衛大臣とかそっち系だろ!
曹操は徐州で何やったよ!?
セリムは兄弟どうしたよ!?
『では、文部科学大臣には誰がよいと思っているの?』
「そうだなぁ……俺が薦めるとすればフリードリヒ2世かな。プロイセンじゃないぞ、シチリアの方だ」
経済とか政治をやらせるとケチがつきそうだが、こと学術に関しては奴の右に出る者はいない。学術奨励策も色々出しそうだ。
「あるいは万能の天才レオナルド・ダ・ビンチというのもアリかもしれないな」
『……無難ね』
「他の奴らはどうしているんだ?」
『鄭和は司馬遷が良いのではないかと言っているわ』
「なるほど。確かにありだな」
史記を残すために宮刑を受け入れたくらい気骨がある、と評価すると、アリかもしれない。
もっとも鄭和が推薦した理由は"宦官だから"かもしれないが。
『郁子さんはアンナ・コムネナかクリスティーナが良いと言っているわ』
「ほう、郁子にしてはまともな人選だな」
確かに女性で選ぶならその2人かもしれん。
アンナ・コムネナは学術全般に精通していたというし、クリスティーナも勉強熱心なことで知られている。推しのデカルトに学ぶために朝五時に起きた結果、デカルトが体調を崩して病死してしまったというのは有名な話だからな。
『あとはカール・マルクスは自身がふさわしいと言っているわね』
「それは絶対に却下だな」
そもそも、マルクスは中世じゃないだろ。
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