第39話 母なる大地に勝利を・中編
ということで、女神の依頼を受けて中世アフリカを勝たせるというミッションに挑むことになったわ。
今回もおまけとして奥洲郁子もつけられることになったわ。
さて、アフリカを世界の覇者にするとなると……
「一体どこにするんですの?」
「もちろん、古代スーダンにあるネクロゴンド帝国の長……世界の8割を支配したと言われるバラモス1世よ」
「……」
……大いに滑ってしまったようね。
「真面目な顔でボケられても分かりませんわ」
気を取り直していくわよ。
「東アフリカで一発逆転を目指すなら15世紀でしょうね。モンバサあたりを占領して力を蓄え、鄭和がやってきた際に明の文明を導入して、そこから明が停滞したタイミングでアラブやインドのお株を奪うの」
「ほう、インド洋をケニアの海にするわけですわね」
「そういうことよ」
アラブやインドには制海権という概念がないわ。
良くも悪くも支配体制を整えれば、一気に行ける可能性があるわね。
「ただし、ケニアの資源力ではそこまで多くの船を作ることが出来ないわ。サバンナ地帯という決定的な弱みがあるのよね」
「それでは難しいですわね」
そう、難しいの。
意外と無視されがちだけど、大量生産体制が整っていない地域は沢山あるわ。こういうところは、発展に向けての段階を踏めない可能性があるわけなの。東アフリカ沿岸はまさにそうした地域といえるわね。
ただし、人的資源は上だし、天然資源の問題解決ができるならワンチャンあるわね。
「他には?」
「もう一つはより早い時代のモロッコね。何といってもスペイン南部を持っているのは大きいわ」
「スペインもそれほど強くは無いですし、こちらも兵站の問題が解決すればヨーロッパまで行けそうですわね」
「ヨーロッパよりガーナ近辺まで行けるのも大きいわね。あの周囲は金も交易も独占できるわ。ただ、東アフリカと逆でモロッコにいるのは脳筋系ばかりだわ。これを改善するのは困難ね」
砂漠が多いという地勢面も影響しているのでしょうけれど、基本的に発想がマッチョだわ。宗教面でもマッチョ気質で厳しい戒律を押し付けるのよ。これだと嫌う人も多いし、商業圏を広げてウッハウッハという発想に持っていけない展開があるわね。
「それでも、どちらを選ぶかとなるとモロッコになるわね。やはり天然資源があるのは有利なのよ。現代ロシアを見れば分かるでしょ?」
「……エジプトは?」
「エジプトは中世以降ほぼアジアという難点があるわね。ファーティマ朝はシリア、アイユーブ朝はクルド、マムルークもテュルク系。イスラエルの話でも触れたけど、ナセルもアラブの大同団結を主張していたのよ」
「条件を満たさないわけですわね」
「そうよ。ということでモロッコに飛ぶわ」
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