第31話 リバース・桶狭間 前編
俺の名前は奥洲天成。
無限の速さで転生を繰り返す転生のプロだ。
メキシコで栄華を極めた人生にピリオドを打って、天界へと戻ってきた。
『ちょうどいいところに来たわね! 天成』
「何だよ?」
『あんたの次の転生先は
何?
今川義元を天下人に?
また、随分と一般向けの題材になったな。
更新期間も空きがちになったし、ネタ切れが加速しているのか?
『桶狭間で義元を見事に勝たせて、天下人にさせるのよ!』
と、言われると中々難しそうな気もするな。
桶狭間は昔の説では、今川が圧倒的有利だったけれど油断して奇襲攻撃を受けたと言われている。ただ、最近では今川家と織田家の間にそこまでの戦力差はなく、全面決戦というわけでもなかったらしい。
それが諸々の様相絡まって、御大将戦死という事態に繋がってしまったということだ。
実際、戦国時代なんて言われているが、野戦の戦場で総大将が死んだケースはというとそれほどない。この桶狭間と、あとは沖田畷など……、恐らく両手で数えられるだろう。
そんな偶発的な事態なら簡単ではないか、そう思うかもしれないが歴史の流れというものは意外としぶとい。俺の失敗例を見ても分かるように、何か違うことをしてもそれを押し戻す別の要素が出てくる。
下流に『今川義元戦死』という波止場があり、そこに向けて流れる川に放り込まれるようなものなのだ。
「準備期間も短そうだし、きついかもしれん」
『もし、天成がダメだったなら、別の方法を使うしかないわね』
「別の方法?」
女神がビデオをセットした。
『ということで、天成が失敗したら、貴方に織田信長を狙撃してほしいのよ。この条件でできるかしら?』
「……テンセイの失敗が狙撃の条件であるならば、承知した。やってみよう……」
『あと、このことを天成に伝える、というのも条件に入れたいの。もちろん、天成がばらしたら始末して大丈夫よ』
「……いいだろう。それも条件として承知しよう……。だが、俺の流儀に反した時は……」
……何かやばい奴に頼んでいる。
というか、最初からこいつに信長狙撃してもらったら良くないか?
『そういうわけにもいかないのよ。今回のポイントは義元を天下人にすることにあるのだから、あくまでアレは最終の助っ人よ』
「そういうものなのか……」
よく分からんけど行ってみるか。
永禄の世の中に。
"郁子の一言"
「あの人も最近色々なところに出ていますわねぇ。どうせなら、同じくらいあちこち顔を出している島●作に天界の経営をしてもらいたいものですわ」
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