第18話 中世最強の刑事を探せ・中編

 切り裂きジャックを捕まえることのできる人物を探してくる。

 これは至極難問だワ。


「すぐに回答を寄越す必要もないわ。明日までに考えて頂戴」

「分かったワン」

 と引き受けたけれど、これは本当に難しいワネ〜。


 そもそも、第一部を見たら分かると思うけど、中世というのは犯罪の捜査も雑極まりないものだワ。そこの連中を19世紀に連れてきても機能するとは思いづらい。


 いいえ、19世紀ではダメなのヨネ。

 切り裂きジャックのようないわゆる劇場型犯罪、シリアルキラーというものは21世紀になっても未だ完全な解明を見ていないワ。

 そこまで知り尽くせる中世人物はいない。

 ここは、女神に奇跡を期待するしかないワネ。


 ......分かっているワ、奇跡なんて起きないということは。

 女神は頭脳で何とかするタイプではないものネ。

 

 とりあえず、天界データベースで知力が95以上ありそうな面々を集めてみたワ。

 日本は毛利元就......ちょっと違うワネ。

 シチリアのフリードリヒ2世、確かに先見性はあるけれど、むしろ犯罪をやらかしそうだワ。

 ビザンツのミカエル8世、これも無理そうね。

 やはり畑が違いすぎるワ。近代警察向きの者はいないのよ。

 といって、近代の警察官僚も違うものね。


 むむっ、包拯と大岡越前守忠相......。

 この2人はアリかもしれないわね。やっていることは裁判官だけど、優れた分析力があるワ。だけど、この2人はフリーハンドで任せないと機能しないタイプヨ。

 警察が協力的になってくれる保証はないから、衝突して大喧嘩をして収拾がつかなくなるかもしれないわネ。


 八方塞がりといった感じだワ。

 もう仕方ないわね。適当にサイコロで決めることにしましょ。

"ニャア"

 おっと、ネコがここにやってきたわ。転生管理室の外では、自由にさせているのネ。

 検索機能を勝手にいじってしまったみたいネ。悪いネコだわ。

 むっ?

 むむむっ?

 こ、これヨ!

 何てこと! こんなところに答えがあったのネ!


 彼女なら、女神の助っ人として、切り裂きジャック事件を解決することができるわ!

 


 翌日、アタシは女神代行の部屋に向かったワ。

 そこには、新居千瑛と女神の2人がいるわね。

「見つけた?」

「えぇ、見つけたワン」

『だ、大丈夫なんでしょうね?』

 女神は自分の女神復帰がかかっているから(日本語としておかしいワネ)、必死の様子だワン。

「えぇ、アタシが見込むのは......武則天ヨン」

『ぶ、武則天!?』

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