【番外編】宰相とは何ぞや
ワタクシの名前は奥洲郁子!
華麗なる悪女を目指し奮闘中!
……ですが、本日、気になることがあり、女神代行の新居千瑛を訪ねましたわ。
「新居千瑛、一つ質問があるのですが?」
「何かしら?」
「従弟の
宰相と首相。
どちらも政治のトップにいる人物のようなイメージがありますわ。
ただ、中世世界では首相というのはありませんし、一方現代においては比喩的に用いる以外宰相という言葉は使いません。
「Wikiなどを見てもイマイチ分かりませんわ」
「そうね。まあ、明確な定義はないようだけど、宰相というのは基本的には家宰だと考えてもらえれば良いわ」
「家宰?」
「家のことをとりしきる一番偉い人のことよ」
「一番偉いセバスチャンでしょうか?」
「そうね。何故執事といえばセバスチャンなのかは分からないけれど……。昔の国は大体個人の所有物なのよ。だから、国という家を司る一番上の存在が宰相になったと考えれば分かりやすいのではないかしら?」
「ほう」
「一方、首相はというと、国が個人の所有物でなくなってから生まれたものよ。以上からこういう傾向はあるわね」
宰相:(君主に気に入られれば)誰でもなれる、仕えるのは君主という個人
首相:大抵就任に条件がある、仕えるのは国家という組織
「おぉ、なるほど。確かに日本の首相は国会議員から選ばれるので、どれだけふさわしくても落選していてはなれませんわね」
「もっとも、19世紀のドイツでは個人に選ばれたのに首相を名乗っているケースもあるし、厳密にそうと言い切れないところはあるけどね。何よりこの作者自身も19世紀世界で首相と言いつつ、実質的には宰相なんてケースを作っているし」
「ふむぅ。19世紀は国家概念が変わりつつあった時代なのでややこしいというところでしょうか」
とはいえ、個人と組織という観点は分かりやすい感がしますわ。
「中国はどうなのでしょう? 三国志の頃には丞相というのがありますが、隋やら唐になる頃には消え去っていますわね」
「中国の場合は、皇帝が国王と宰相を兼ねるくらいの力を有してしまっているものね。オスマンもそうだけど、不信任が死に直結しうるわけで、あれだけ力のない面々を首相やら宰相という区分に入れてしまっていいのかは疑問があるわね」
「オスマンは大宰相なんていう大仰な存在もおりますが?」
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます