第151話 ピョートル3世に転生しました・後編
快進撃を続けてきた我がロシア帝国ですが、領土を拡張しすぎて壁にぶち当たってしまいました。
と言いますのも、プロイセンをぶっ潰したことで直にオランダやフランスと接するようになってしまいました。
となると、西側の自由な思想がバンバン入ってくるのです。
これによって、貴族達が「俺達も団体を立ち上げたい」とか言い出します。
一番ムカつくのは妻(別居中)のエカチェリーナが「ロシアはもっと啓蒙的でなければなりません」と野党のボスとして振る舞っていることです。
キィィィ!
自分が女帝の時は「それはそれ、これはこれ」だったくせに、どの口でほざくのでしょう!?
この世界線では女帝ではないのでそれを言えないのが無念極まりありません。
西の方で迂闊に動くと大火傷をしますので、南でトルコを叩きますわ。
「神は左の頬を叩かれたら、右の頬を差し出せと言いますが、一方でこうも言っていますわ。トルコの左の頬を叩いたら、更に右の頬も叩くべきであると!」
「ロシアのものはロシアのもの、トルコのものはロシアのものですわ!」
「欲しいものは全て手に入れるのが、ワタクシの対トルコ流儀ですわ!」
連日威勢のいい発言をして、軍を煽り、南下します。
プロイセンの支援に失敗したイギリスはフランスとの覇権争いやらアメリカ独立戦争に必死で、トルコを支援する余裕などありませんわ。オーストリアが「トルコが死んだら、次は自分達じゃね?」とウクライナで嫌がらせをしてきていますが、構うものではありませんわ。
ポチョムキンの指揮下、ロシアはウクライナを完全に支配しました。
そう、セバストポリをゲットしたので不凍港が手に入ったのです!
このまま黒海沿岸も支配しますわよ!
フランス革命前夜。
ロシアはオスマン・トルコをビザンツ末期状態まで追い込むことに成功しましたわ。
ああ、中東は面倒なので放置しています。石油はバクーだけで充分ですわ。
フランスが革命で国民国家になると、プロイセンをまとめて奪われてしまううえにモスクワまで攻め込まれる危険性があります。それを避けるためには、あらかじめフランスと交渉して、ナポレオンを確保してしまうことですわ。彼のいないフランス革命は違う形になることでしょう。
この時代のナポレオンなら、待遇さえ良ければペテルブルグで働くことも厭いませんからね。
革命運動が広がってきたらたまったものではありませんわ。
革命が起きたら、どうにかしてフランスを潰さないといけません。オーストリアやイギリスと組んだうえで、本格的に攻め込むべきでしょう。
そうすればポーランドも分割し、東はウラジオストークから西はパリに至る大帝国が築かれるのですわ!
「陛下、大変です!」
「どうしました?」
「この宮殿が包囲されています!」
「何ですって!? 一体誰が?」
「皇后陛下です!」
「エカチェリーナが!?」
何と言うことでしょう!
あの啓蒙狂い、まさかフランスと組んで革命派を先導しようとするとは!
革命の上に立って、ロシアの女帝に君臨しようというのでしょうか?
そんなことができるはずありません!
史実では弾圧していたくせに、都合が良すぎですわ!
と叫んだところでどうにもなりません。
ワタクシの大望は、フランス革命に波及した運動でアッと言う間に潰えてしまいました。
やはりロシアは西側と接するべきではありませんでしたわ。
"千瑛ちゃんの一言"
「残念だったわね」
「くぅぅぅ、エカチェリーナとはとことんまで敵対しあうということが分かりましたわ。次回があれば、必ずや息の根を……」
「悪の幹部みたいなことを言っているところを悪いけど、次に失敗するとBランク降格になってしまうわね」
「Bランクは嫌ですわぁ。もう少しイージーなものにしてくださいませ!」
「……そうね。次は、掟破りの現代転生になるけどトントンに転生しなさい」
「トントン?」
「上野動物園で、適当に歩いたり転がったり食べたりしていれば来場客が大喜びして成功する、いわゆるパンダクエスト。自信を失ったものを再起させるにはうってつけの転生先よ」
「それは馬鹿にされているようで嫌ですわ……」
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