第149話 ダメ君主を脱しろ ~ ピョートル3世に転生しました

 ワタクシは奥洲郁子!

 悪女の道は険しくとも、必ず極めてみせますわ!


「……郁子さん」

「どうなさいました? 女神代行の新居千瑛」

「この前の可哀相な皇帝杯を覚えているかしら?」

「確か上位三人の中宗、ピョートル3世、シャー・アーラムに天成が転生するのですわね?」

「転生対象の三人はその通りね。ただ、三人とも同一人物だと面白くないから、ピョートル3世には貴女が転生してちょうだい」

 何ですって!?

「それに、以前エカチェリーナ2世になったこともあったでしょ? その知識もあるから、より楽じゃないかしら?」

「ですが、女が男に転生するというのはいかがなものでしょう?」

 最近で言うなら、性不適合そのものですわ。

「史実のピョートルは子供もいないし、あまり変わらないでしょ」

 しれっと酷いことを言う女神代行です。

 パーヴェルは公式的にはピョートルの息子なわけですが……


 と、新居千瑛が資料を取り出してきました。

「貴女と天成は共にAランクだけど、天成がSランクのギリ下につけている一方で、貴女は大失敗が多いからBに近いAなのよね。そろそろ堅実にポイントを稼がないと、悪女は悪女でも、女王アリに転生することもありうるわよ」

「じょ、女王アリ……」

「そうよ。グンタイアリの女王となってアマゾンを支配してみるというのは興味深い試みね。アリ界のアレクサンドロスとかナポレオンを名乗ることができるのよ」

「ノーサンキューですわ……。分かりました、ピョートル3世でポイントを稼ぐことにいたしますわ」

 女神はおちょくるように言ってムカつくのですが、新居千瑛はおちょくっているのか真面目なのか分からないから反応に困りますわ。


 さて。

 ピョートル3世は色々残念な皇帝ではありましたが、続くエカチェリーナ2世の下でロシアが大国になったわけです。

 つまり、ピョートルが残念に振る舞わなければロシアを上げ潮に乗せた可能性が高いわけで、実は結構イージーな転生先と言えるのではないでしょうか。


 ワタクシの腕の見せ所ですわね!

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