第140話 クレオパトラ・フィロパトルに転生しました・後編

 父・プトレマイオス12世はローマの支援を受けてファラオに復帰しました。


 それから数年、父は死にました。

 当然! ワタクシが次のファラオですわ!


 史実で共同統治をすることになっていたプトレマイオス13世は姉のベレニケとともに処刑されたので、更に下の弟、史実では14世になったプトレマイオスと結婚して共同統治することにしましたわ!

 とはいえ、13世を名乗った本来14世はまだ8歳。ワニやヘビなどの動物に興味を示すガキンチョですわ。


 国内に対立がないので、ローマとの折衝も楽なものですわ。

 史実ではユリウス・カエサルと仲良くなり、カエサリオン(プトレマイオス15世)を儲けることになりますが......


 うぅむ、新居千瑛の言葉が気になりますわね。

「フィロパトル(父の栄光、父が大好き)を意識しなさい」という、あの言葉。もしかしたら、ワタクシの父親世代のカエサルとのパパ活のような愛人生活を戒めるためのものなのでしょうか。


 カエサルは現時点では地中海世界随一の実力者です。

 史実のクレオパトラは弟と内戦していたので、彼の力が絶対に必要でした。

 今のワタクシは、ローマの支援は必要ですが、カエサルでなければ倒れるほど不安定ではありません。むしろ暗殺された後、変にややこしい形で絡むことになるのでワタクシにとってカエサルは厄ネタと言えるのではないでしょうか。

 未来を考えて、カエサルよりも別の者とくっついた方が良さそうです。


 そう! 史実では、究極の敵となってしまう、あのオクタヴィアヌスです!


 アクティウムの海戦の後、クレオパトラが接近を希望したけど、39歳なので相手にされなかったという悲しい話がありますが、この時代ならワタクシは20半ば、向こうはまだ10代です。いわゆる姉さん女房的な形で収まることも可能ですわ。


 というより、カエサルとの子供がいないのなら、仮にアントニウスとくっついてもそこまで敵視はされないはずです。

 オクタヴィアヌスは、カエサリオンは殺しましたが、ワタクシとアントニウスの子供には手を出しませんでしたし、ね。


 ふむ、やはりカエサルは厄ネタですわね。やめておきましょう。


 代わりに迎えるのは誰にするべきか。

 オクタヴィアヌスか、アントニウスか、それとも別の第3者か。

 迷いますわ。



"女神の一言"

『打算に翻弄されまくっているわね』

「悪女って、どっちかというと恋愛に奔放なイメージだものな。今の郁子は完全にどっちが得かで考えていて悪女というより後妻業みたいな雰囲気があるな。せっかくクレオパトラに転生できたというのに」

『転生経験が増えてくると、そうなってくるのかしらねぇ』

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