第139話 クレオパトラ・フィロパトルに転生しました・中編
エジプトにやってまいりましたわ!
ワタクシは、プトレマイオス12世の娘として生まれましたが、姉のベレニケが大暴れしていますわ……。
この時代のエジプトは、アレクサンドロス配下の知将プトレマイオスが創始者となったプトレマイオス朝です。
この頃には反乱も発生していて、国内統治は不安定なものになっておりますわ。
父・プトレマイオス12世の即位も国内から認められません。
ということで、ローマの支援を借りようということになったわけですわ。
……。
父よ、おまえだったのか、エジプトをローマに売り渡したのは……
父はローマに献金して支援を受けましたが、その金を増税で賄おうとしました。
当然、国民は大激怒。反乱が起きてローマに逃げていきましたわ。
一つ上の姉ベレニケが母親と共同統治でファラオになりましたわ。女同士のファラオなんていうのもあったのですね。
こういうのを同人誌にしたら売れるのでしょうか……。
ところが姉は母を亡き者にし、単独統治をはじめましたわ。
隣のシリア国王セレウコスと結婚しましたが、役に立たないと見て殺害してしまいました。セレウコス朝は昔日は強かったのですが、今はもうほとんどの地域をパルティアに奪われております。アテにしたのが間違いでしたわね。
……しかし、ガンガン殺しているのですが、この姉、クレオパトラよりよほど悪女ですわね……。
「ちょっとクレオパトラ二号」
「何でしょうか。姉上様」
「あのボンクラがローマの支援を受けて戻ってくるらしいわ。迎え撃つけれど、あんたも何かいい知恵はないかしら?」
姉が台風のように付近の国から王配を漁っているので、「危険だ」と見たローマが父の復位を目論んだようです。
ワタクシは姉から協力を求められましたが、史実のワタクシは父についています。
ここまで父に反発した姉がいたので、父の方についたワタクシは『父を敬愛する』的なフィロパトルで呼ばれるようになったのでしょうか。
クレオパトラの人生はカエサルと会って始まるものかと思いましたが、これ、ワタクシどちらにつけばよろしいのかしら。
ここで姉の側について、バッチリ父をぶちのめした方がローマの支配を逃れるという意味でも良いのではないでしょうか?
ただ、姉は気に入らない者をすぐに殺しています。
一時期ワタクシが気に入られたとしても、「クレオパトラ二号も生意気だから殺してしまおう」となるかもしれません。
それにローマ軍にはポンペイウスやカエサルもいます。姉が父を撃破したら、彼らが前線に出て来るでしょう。
まともに相対するのは分が悪すぎますわ。
あぁ、ただ、良いアイデアがひらめきましたわ。
ワタクシは弟のプトレマイオスを呼びました。男はプトレマイオスばかりで女はクレオパトラばかりでややこしいことこの上ありません。
「弟よ。ワタクシ達は別々の道を行き、血筋が残る確率をあげましょう」
「……それはつまり父と姉二号、姉一号と僕と別れて、両サイドに二人ずつつくということですか?」
「弟よ。話が早くて助かりますわ」
父と娘の対決は、父が勝ちました。正確にはローマが勝ちました。
姉ベレニケはもちろんのこと、後々邪魔になる弟のプトレマイオスも処刑されたので、父が死ねば、王家を継ぐのはワタクシ一人だけですわ!
まず早い段階でエジプト王位を確定させましたわよ!
これが新居千瑛の言っていた、「異名をしっかり考えよ」ということでしょうか?
"女神の一言"
『どうなのよ? にいいちぇ?』
「……このドラマはつまらないわね。もっと面白いコンテンツはないのかしら?」
『仕事サボってテレビを観るなー!』
「あんたがそれを言うかよ……。あと、新居千瑛は全部片づけてから観ているし」
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