第125話 南宋決戦⑦ 童貫に転生しました

 は~い♪


 アタシは鄭和よ。


 今回、女神さんが天成と郁子の二人を、岳飛と王氏に転生させると聞いて閃いたことがあったのよね~。

 それはね、宦官の国を作るっていうこと♡


 アタシは、史実では八年で滅んだ斉に目をつけたのヨ。

 斉は金が自分達だけのために作ったご都合国家よ。だから、南宋で和平論が強くなってくると、お役御免で取り壊しになったワ。


 だけど、天成が岳飛に転生するのなら、彼はもうあと数年は頑張るはずだワ。その間に宦官を大量に連れてきて、宦官の国を作り上げるノ。金が簡単につぶせないような国家にしてしまうのヨ。


 その上で、必要とあれば金とも南宋とも組んで、国を存続させて、両国を出し抜こうという考えなわけ。


 だからアタシは、二人が同時転生するのに乗じて、先に童貫に転生したのヨ。

 同じ宦官だから、やりやすいし、彼は軍もゲットしているものネ♪

 宋を裏切るのは辛いけど、それをやらないと宦官の国は作れないの、仕方ないワ。


 史実で斉を創るのは劉予だけど、アタシは金と談合して、出し抜くことに成功したのヨ♪


 今のところうまくいっているワ。

 金は長江の南までは攻めたくないみたいだし、南宋では岳飛と秦檜・王氏が激しく争っているものネ。


「おまえ達、世界は支配されるものではないわ! 調整されるべきものなのよ! 調整という点では、アタシ達宦官に敵う者はいないワ!」

「ウォー!」


 物凄く意気上がっているワ。

 宦官軍を舐めたらいけないわヨ。テーバイ軍が置いていた同性愛者の部隊・神聖隊と同じだけの結束力があるのよ。


 これをいつ使うか、楽しみネ!


 チョイチョイ……


 うん? 何なのよ、アナタ?


『盛り上がっているところを悪いですが、そろそろ寿命ですぜ』


 何ですって!?


 う、迂闊だったわ!

 アタシは1050年代の生まれ、転生したから年齢を忘れていたけど、もう80超えているんだったワ!


 うふ、うふふふふ♪


 アタシがなくても斉は永遠に不滅……なんてことにはならないわよね。


 宦官の国を作る壁は高く、険しいワ。

 だけど、いつの日か、アタシは必ず乗り越えてみせるわヨ!



"女神の一言"

『そういえば、寿命で本懐遂げずは初めてかもね。三人とも死んだ頃に大人になるあの幽霊が何を企んでいるのか、まだ分からないけど』

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