第120話 南宋決戦② ~ 王氏に転生しました・前編
ワタクシの名前は奥洲郁子!
前回、女神から「次回こそ悪女」という言質を引き出しましたわ!
「ダ女神、ワタクシは一体誰に転生するのですか?」
『ダ女神言うなー! 次は南宋の王氏よ』
「王氏?」
『秦檜の妻よ』
秦檜の妻……
「それって、単なる悪い女ではありませんこと!?」
ワタクシはもう騙されませんわ!
『何を言っているのよ。秦檜夫妻が富貴を極めたことはよく知っているでしょ? もう少し綺麗に岳飛を仕留めたら、もっとやりたい放題できるのよ』
「むむっ? もっと徹底して悪さを働けという開き直りのように感じられますが……」
確かに秦檜は岳飛達を始末した後、やりたい放題やりましたわ。
その中で、ワタクシも好き放題できるというのは魅力ですが……。
『それに、ここだけの話だけど、今回は同時転生なのよ。岳飛には天成が転生することになっているわ』
何ですって!?
『天成が大成功してもいいわけ?』
「それは困りますわ」
ワタクシが本願を達する前に、天成が大成功してしまっては、「ダメな方の奥洲」などと呼ばれてしまいますわ。それだけは避けなければ。
「分かりましたわ。天成の足を引っ張らなければなりませんわね」
かくして、ワタクシは王氏に転生することになりました。
「しかし、王氏って下の名前はありませんの?」
『作者も色々調べたんだけど、下の名前が見当たらないのよねぇ。一族には芸術で有名になった女性もいて、そっちは名前があるけど、王氏はあくまで富貴を極めただけだから』
それも気に入りませんわね。
『まあ、話の間は、王郁子と名乗っていればいいんじゃない?』
「分かりましたわ。それでは転生航空機に乗りますわよ」
『あ、正規便には天成が乗っているから、貴女は特別機ね』
「むむっ?」
天成が普通便に乗ったということで、ワタクシは特別便になりました。
特別便、素晴らしい響きですわね。
「それでは、天成の偵察でもしておきましょう。『むむっ!? 機長がにいいちぇで、チーフパーサーが鄭和だ。とんでもない飛行機に乗せられてしまった』? どういうことですの? あの二人も行くということ?」
天成との同時転生ではなく、多元転生ですの!?
あのダ女神、またもワタクシを騙そうとしている!?
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