第114話 最も可哀相な皇帝杯・後編
開会宣言から三時間が経った。
俺達裁判員はそれぞれの評決を書いて、提出している。
それを見た裁判長の神が『ジャッジの時だ!』と叫び、俺達裁判員が彼らの後ろに並んだ。
『全世界から六人まで選抜された最も可哀想な皇帝杯もいよいよ決着の時を見ようとしています。果たして勝つのは、日本三大怨霊か、母・妻・娘の三世代に捨てられた男か、日常から悲惨な男か、世界史屈指のざまぁ食らいか、痔で死んだ皇帝か、それとも西欧の気の毒な男か!?』
ナレーションが入り、カメラが裁判長の神をドアップにとられる。
『唐・中宗!』
神が右手を振り上げて宣言した!
『唐・中宗であります! 三世代すべての女子に嫌われた点が高く評価されたのでしょうか!? 手元に採点表が届きました。ちなみに個別採点と言いますが、キャラごとの違いはありません! 公平を期するためにハンデをつけてサイコロを何回か振った結果です!』
ジャッジ・女神
1位・中宗、2位・ムスタアスィム、3位・ピョートル3世、4位・シャー・アーラム、5位・崇徳天皇、6位・カール7世
ジャッジ・天成
1位・シャー・アーラム、2位・カール7世、3位・中宗、4位・ピョートル3世、5位・ムスタアスィム、6位・崇徳天皇
ジャッジ・郁子
1位・シャー・アーラム、2位・中宗、3位・崇徳天皇、4位・カール7世、5位・ピョートル3世、6位・ムスタアスィム
ジャッジ・鄭和
1位・ピョートル3世、2位・中宗、3位・シャー・アーラム、4位・崇徳天皇、5位・ムスタアスィム、6位・カール7世
ジャッジ・千瑛
1位・ピョートル3世、2位・崇徳天皇、3位・中宗、4位・ムスタアスィム、5位・シャー・アーラム、6位・カール7世
合計点(それぞれ1位が6点、2位が5点……6位1点)
崇徳天皇:15点
中宗:24点
シャー・アーラム:21点
ムスタアスィム:15点
ピョートル3世:21点
カール7世:11点
※順位決定戦はシャー・アーラム、崇徳天皇が上位に。
サイコロ勝負は極端に悪い目が出るとまずい。
中宗は大崩れがなく、全員上位に入れたことが勝因となったのだろう。
「おめでとう! 中宗!」
「ヒック、ヒック……、母にも妻にも娘にも捨てられた甲斐があったってもんですよ」
本当かよ?
「それじゃ、中宗を胴上げだ!」
「いや、一番ダメな皇帝だから、胴下げなのではないか?」
胴下げって何だよ。みんなで、ボディスラムでも食らわす感じなのだろうか?
『優勝した中宗はもちろんのこと、表彰台に上った三人については、いずれ転生先として取り上げられることになるだろう!』
かくして、第一回・最も可哀想な皇帝杯は終了した。
第二回があるのかどうかは知らないが。
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