第108話 ニッポンに、いい宦官を ~ 徳川家光に転生しました・前編

 は~い♡


 みんなのアイドル・鄭和がやってきたわヨン。


 今回もよろしくネ♪


 日々、LGBTQE運動に明け暮れているアタシだけど、最近、幽霊の新居千瑛がN(無性別)も入れようとしているのヨ。

 本人は幽霊だからP(GhostだとGがダブるのでPhantom)まで入れようとしかねないワ。LGBTQENPまで来ると何のことだかさっぱり分からなくなるのヨ。


 熾烈な争いなのよ、大変なのネ~。


『ややこしくしている主犯のくせに何を他人事のように言っているのよ』

「あら~、女神さ~ん。アタシねぇ、実績が欲しいからまた転生させてほしいのヨ」

『何の実績やねん』

「世界に宦官が必要だっていう実績よ。特にぃ、宦官を入れなかった日本と西欧に導入実績が欲しいワン」

『ならんわ!』

「いけずね~。そんなこと言いつつ、案件を抱えているんでしょ~?」

『あ、こら! 人の資料を取るんじゃないわよ!』

「徳川家光! いいのがいるじゃない!」


 徳川家光っていえば、アレでしょ。

 自分は生まれながらの両刀使いだ(=B)、と宣言した人でしょ♪


『そんな宣言しとらんわ! 確かに同性傾向が強くて、女の方に向けさせるのに苦労したって話だけど!』

「あ・た・しぃ、家光に転生したいわ~」


 日本に宦官制度を導入しうる人間がいるとしたら、

 それは徳川家光が最有力候補と思われるのよネ。


 日本で宦官が導入されなかったのは何故なのか?

 根本的には強力な中央集権勢力がなかったから、だと思うのヨ。

 中国やオスマンを見れば、全地域から税金を搾っていたでしょ?

 でも、日本は伝統的に地域の主が地域を管理していたワ。江戸幕府にしても地方大名がその地方を運営しつづけていたからネ。


 だから、中央に莫大な富やら人が蓄積することがなかったのよね。一例として、日本は奴隷をポルトガル経由で輸出していたノ。奴隷を自前で消化できなかったということは富の蓄積を背景にできる文化を持っていなかったということなのよね。

 これは宦官が育つには不向きな環境なのヨ。


 だって、宦官を作るには巨大な人的蓄積が必要だし、後宮管理がメインと思われているから巨大な後宮も必要とするのだもノ。

 日本には中国の後宮三千人やらオスマンのハレムと比較できるようなものはなかったワ。

 江戸時代には大奥があったけど、それでも大きさとしては微妙だものネ。


「あ、アタシは日本を批判しているのではないわよ。宦官を必要とする条件が整わなかったという点では残念だけど」


 でも、宦官を必要としうる転機はあったのヨ。

 その最大の機会が、女神さんが転生を勧めてくれている徳川家光だと思うノ。


 彼の時代、徳川家はとても強かったワ。

 彼がもう少し女の子に専念して、長生きしていれば日本の大奥は、世界レベルの後宮まで発展できて、宦官も必要になったと思うノ。


 家光が男色メインのB路線だったことは、Eをメインとするアタシには残念なことだったのよね。


 だ・か・ら、それを覆してみせるわヨ。


『女神を差し置いてモノローグばかりで語るな! 資料を返せ~!』


 家光に転生だワ。

 ドキドキするわネ♪

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