第105話 目指すは第一の女帝 〜 陳硯真に転生しました・前編
ワタクシの名前は奥洲郁子!
悪女を目指して、日々奮闘する日々を送っておりますわ。
しかし、邪悪なる女神や、役立たずの一族のせいで、毎回失敗する有様!
佳人薄命と申しますが、ワタクシ、疎まれているのですわ!
『あんたを疎むほど、暇じゃないわよ......』
「出ましたわね! 邪悪な女神! この前の約束を忘れたとは言わせませんわよ!」
『あぁ! 今度、ビッグカックを食べに行くって言っていたわね!』
「そうそう! 天界のビッグカックは美味し......違いますわ! 今度こそ悪女に転生させると言いましたわよ!」
『チッ......覚えていたとは』
「ワタクシは悪女に関することだけは絶対に忘れませんわ!」
『......今回と次回は中国よ』
「場所はどこでもいいですわ! 悪女ならば」
『今回は......多分悪女よ』
「多分? またいい加減なことを言ってワタクシを騙そうとしていますわね!?」
『いいえ、究極の悪女よ! 何故なら、あの則天武后を出し抜いたのよ!』
「則天武后を出し抜いた?」
それは中々に悪女っぽい響きですが、そんな女がいたのでしょうか?
『今回の転生先は......
「陳硯真!! ......って、誰ですの?」
『フッ、これまで「マイナーな人を」という指摘も受けてきたけれど、今回こそまさしくどマイナー中のドマイナーよ。正史だと本人は出てこなくて、方臘のところに「同郷では昔、陳硯真が反乱した」とついでで語られているだけだわ』
「そんなドマイナーな女、絶対に嫌ですわ!」
というか、女子に関してはマイナー路線ばかりではありませんこと!?
何故にここまで悪女を避けるのか、作者の悪意を感じてなりませんわ!
『しかし、この女は、中国史で最初に女帝となった人物でもあるのよ』
「最初の女帝!?」
陳硯真は唐の高宗の時代に、反乱を起こした女だったようです。
中国では、反乱を起こした者がついでに皇帝を名乗ることはよくありますが、陳硯真もその一人で、則天武后が即位するよりも先に自称したということです。
幻の女帝第一号、みたいな扱いですわね。
「しかし、女帝と称しただけで支配地域も少ないし、しかも3ヶ月程度で唐軍に負けて処刑されておりますわ。これを女帝と認めるのは、さすがに難しいのではないかと思いますことよ」
『それを変えるのがあんたの役目なのよ』
「む......?」
『史実ではすぐに負けたから、ドマイナーなのよ。だけど、これが半年、1年、3年くらい続いていたなら、もっと大きく取り上げられるし、浙江省全域でも支配していれば有名になれたのよ』
「なるほど。真理ですわね」
『支配すれば、悪女としてもやりたい放題よ! だって、自力で女帝の地位を勝ち得るんだから』
「言われてみれば......!」
『さあ、行ってきなさい!』
「うおおおお! ワタクシ、燃えてまいりましたわ! 必ずや女帝にのし上がり、悪女として好き勝手やってみせますことよ!」
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