第103話 ヤン・ソビエスキに転生しました・中編


 かくして、俺は17世紀半ばのポーランド・リトアニアに転生することになった。


 この時代のポーランドを取り巻く状況はどうなっていたのか。

 まず、東には強くなる前のロシアがあった。ロシアとの関係はあまり良く無い。宗教が違うからな。


 次に北にはスウェーデンがある。30年戦争で勝者となり、バルト帝国を築こうとしている状況だ。

 スウェーデンとの仲も良くない。こちらはカトリックだが、向こうはプロテスタントだからな。


 南にはオスマン帝国がある。

 ウクライナを巡ってしょっちゅう戦争している宿敵だ。

 当然仲は良く無い。


 西にはドイツ諸侯がいる。

 30年戦争で勝ったところ負けたところとあるが、相変わらずまとまりがない。仲はまちまちだ。


 南西にはハプスブルク帝国がある。

 こことも仲は良く無い。同じカトリックだが、国境を接した地域では民族の違いもあって喧嘩ばかりだ。


 最後にドイツの西にフランスがいる。

 こことはまぁまぁ仲がいい。同じカトリックで利害が衝突しないからな。


 こんな状況のポーランドで、俺は生まれた。

 ポーランドにとって一番厄介なのは、勝手に攻めてくるオスマンだ。

 これを何とかしなければいけない。

 とは言っても、ポーランドに攻めないオスマン帝国はハプスブルクを攻めているので、そうさせるしかない。

 で、そうすることでハプスブルクは怒る。

 一番悪いのはオスマンなのだが。


 両者が仲良くオスマンと戦えば良いのではないかという話もある。

 ただ、こちらから攻めるとなると、スウェーデンやロシアがちょっかいをかけてくる。多面同盟を組むには資金その他が足りないし、宗教の問題もある。


 更にポーランドに関して言えば議会の問題もある。

 ポーランドは、貴族からなる議会で運営されており、その発言力が強い。ロシアやハプスブルクのように国王が好き勝手できないのだ。

 だから、意見を取りまとめるためにかなりの苦労と見返りが必要になる。


 以上がポーランドを取り巻く状況だ。


 俺は若いうちから、フランス語やドイツ語を勉強し、オスマンにも派遣されたりして、各地の知識を学んだ。

 これにより、各国のやり口などを知って、名将としての能力を培っていくことになる。


 ただ、あちこち行ったから、国内での繋がりは弱い。

 つまり、俺がポーランドで頭角を表すには、戦場での勝利が必要だ。それも一つではなく二つ三つと。

 そして、国内を動かす力がない以上、戦場で次の戦争への種を撒き、ひたすら勝利していくしかない。


 勝利のみが、俺を高みへとのし上げる。

 ロシアに勝利すれば、正教とツァーを馬鹿にし、トルコに勝ったらイスラムを馬鹿にする。怒った奴らが再戦してきたら、また勝利する。


 ......何だか、過去一で殺伐としていないか?

 項羽でも、ここまで戦闘オンリーではなかったぞ。

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