第102話 咲かせよ、ポーランド~ヤン・ソビエスキに転生しました・前編
※可哀相な皇帝杯後編は110話前後を予定しております。
俺の名前は奥洲天成。
俺は今、天界の図書室で資料をコピーしている。
最近、負け続きの俺だ。このまま負け続けていると主役の座を下ろされてしまうかもしれない。今回は勝たないといけない。
絶対に負けられない戦いが、そこにある。
『前回は、相手がチートだったので大変だったと思うけど、今回は転生先がチートよ』
「転生先がチート?」
『そう。少なくても戦場では』
「戦場では?」
戦場では無敵。
なんて言われると、想像してしまうのは呂布みたいなやつだ。
以前転生した項羽もそうだったかもしれないが。
『ヤン・ソビエスキよ』
「ヤン・ソビエスキか……」
ヤンという名前がつく奴に弱いヤツはいない。
というのは都市伝説だし、そもそもジョンのポーランド読みがヤンになるから、厳密にはヤンでもない。
とはいえ、こいつは確かに強い。
そのハイライトは第二次ウィーン包囲をしていたオスマン軍を撃破したことだろう。
ポーランドというとフサール騎兵で有名だが、それを知らしめたのは間違いなくヤン・ソビエスキだ。何度か触れたが、彼の時代は銃の精度が冴えなかったので単純な騎馬突撃が効果を出しやすかったということもある。
戦場では確かに強かった。無敵と言うのも言い過ぎではないのかもしれない。
18世紀以降、さっぱり冴えなくなったポーランドにとっては、華々しく活躍した最後の英雄といってもいいだろう。全史で見ても、他にはモスクワを陥落させたスタニスワフ・ジュウキェフスキが出て来るくらいだろうか。
ただ、『戦場では』というのがつくあたりがミソではある。
ポーランドは議会の力が強く、国王でもその掌握に苦労していたという。
だから戦場では無敵でも、国内統治には苦労した。
あと、戦争には滅法強かったが、その勝利をポーランドのために活かすこともできていなかった感がある。
コーエーのゲームに行けば、政治50、戦闘100、知力60くらいになるだろうか。
で、ヤン・ソビエスキ以降のポーランドは完全に下火になってしまった。
18世紀にはポーランド分割でなくなってしまったわけだし、以降もドイツとロシアの片方、場合によっては両方にボコられ続けている状況で現在に至っている。
ソビエスキがもう少し別の立ち回り方をしたら、ポーランド史自体が変わっていたのではないか。
そう思えてくる。
やりがいがありそうだ。
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