第100話 最も可哀相な皇帝杯・前編

※今回の6人は、作者の独断と偏見で選ばれています。


『開廷!』

 女神の一言で、法廷の扉が開いた。

 いつもは弁護側、検事側と別れる俺と郁子も、今回は裁判員席だ。


 今回、ここにはモブも含めて12人の怒れる審査員が入るらしい。

 いや、俺は怒っていないけれど。


 今回、裁判長席に座るのは、インテリ神だ。

『それでは、裁判席の諸君、名乗ってもらおう』


 まずは女神が立ち上がった。

『天界代表の女神でーす!』

 次は俺だ。

「ノーマル人間男代表の奥洲天成だ」

「ノーマル人間女代表の奥洲郁子ですわ!」

「宦官代表の鄭和よ~ン♡」

「幽霊代表の新居千瑛よ」

「革命家代表のカール・マルクスである!」


「……」

『おまえは呼ばれていない』

『あんたはお呼びじゃないのよ!』

「な、何をする!? これは吾輩に対する不当差別だ!」

 何だかよく分からないが、吾輩男は退場していった。


 とりあえず、女神、俺、郁子、鄭和、新居千瑛と7人のモブが裁判員だ。


『それでは、各地域の予選を勝ち上がった? 可哀相な皇帝たちにご登場願おう!』


 法廷の一角が開いた!

 というか、今回、法廷めちゃくちゃ広くない?

 サッカー場くらい広いんだが。

 とにかく、その隅が開いて、まずは天界吹奏楽団が現れた!

 ワーグナーの『ワルキューレの騎行』を演奏しながら前進している。


 更に地球旗に続いて『第一回可哀相な皇帝選手権』のテナントが続く。


 その後ろから、プラカードを持って天使に導かれて、それぞれの地域を勝ち抜いた? 皇帝と廷臣達が入場行進をして入ってきた!

 選手入場だ!


『日本代表・平安・崇徳天皇!』

 我が日本の代表は、保元の乱で負けて流刑になってしまった崇徳天皇だ!

 正直、上皇としての方が有名で、いつからいつまで天皇だったのかさっぱり分からないが。


『中国地域代表・唐・李顕!』

 中国の代表は唐の李顕、つまり中宗だ!

 大国・唐を一時的に滅亡させてしまったことが響いたのだろうか?


『インド代表・ムガル・シャー・アーラム2世!』

 激戦区インドを勝ち抜いたのはムガル皇帝のシャー・アーラム2世だ!

 正直インドはよく分からないが、あれだけはちゃめちゃな国の代表なんだから、凄いのではないだろうか?


『中東・トルコ代表・アッバース朝・ムスタアスィム!』

 中東とトルコの代表はアッバース朝最後のカリフ、ムスタアスィムだ!

 カリフは皇帝なのかよく分からんが、宗教指導者の側面も含んだ皇帝の上位版みたいなものなのだろう。


『東欧・ロシア代表・ロマノフ朝・ピョートル3世!』

 東欧代表は、一部35話『ブランデンブルクの奇跡』と二部34~36話『エカチェリーナ2世に転生しました』でも出て来たピョートル3世だ!

 この話の常連と言っていいのではないだろうか!? 作者に愛されていそうな気がするぞ!


『西欧代表・バイエルン・カール7世!』

 西欧代表はヴィッテルスバッハ家のカール7世だ!

 西欧はユーラシアのようなネタ満載の皇帝は少ない気がするが、一体どれほどのものなのだろうか!?


 行進を終えた6勢力が、法廷の正面、6つある被告席についた。


 これから、それぞれの陣営の自己アピールが始まるはずだが、一体、どのような可哀相な話が語られるのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る