第84話 毒女は逃げられるか~ラ・ヴォワザンに転生しました・前編
ワタクシの名前は奥洲郁子!
最近、ワタクシが軽んじられているような気がしてなりませんわ。
ワタクシの出番のはずが、変な幽霊が出て来て飛ばされてしまいましたし。
ワタクシ、抗議に行きますことよ!
「こらぁ、駄女神! いつになればワタクシはハーレムの悪女になれるのですか!?」
『誰だ駄女神やねん! でも、いいところに来たわね!』
「……?」
『今回こそ悪女の部下にしてあげるわ。この結果如何によっては、次は悪女に昇格できるわよ』
「次は……?」
むむ、言質を取ったのは初めてですわ。
そうであれば、今回はその部下になって、悪女の有様をつぶさに見るのもありですわね。
「分かりましたわ。今回はそれで妥協いたしましょう」
『じゃあ、早速フランス行きの転生航空機に乗ってきてね』
転生航空機設定もいつの間にか普通になってしまいましたわね。
まあ、いいですわ。資料をもらって、早速行くことにしましょう。
『天界発、17世紀フランス便はまもなく搭乗受付時間が終わります……』
おっと、まずいですわ。早く手続をしないことには。
17世紀のフランス悪女といえば、王妃を追い落としたモンテスパン侯爵夫人の名前が浮かんできますわね。彼女の部下になれるなら、史実の悪女と実際の悪女は何が違うのか調べる良い機会ですわね。
ふぅ、航空機に間に合いましたわ。
さて、離陸までの時間に予習をしておきましょう。
えーと、カトリーヌ・デエー。聞いたことのない名前ですわね。
何々、通称ラ・ヴォワザン。裕福な宝石商の妻だったが、裏では毒薬や黒ミサなどを行い、顧客にはモンテスパン侯爵夫人もいた……
「ガッデム!」
「お、お客様、機内で暴れるのはおやめください」
「※φ■Λ作者めぇぇ、ここでまさかの桐生操系オカルト世界史をぶっこんできやがるとは! そんなのありですの!?」
また騙されてしまいましたわ!
こいつは悪女の部下ではなく、悪女を顧客にしている毒女ではありませんか!
"天成の一言"
「誰に転生するかくらい、あらかじめ確認しておけよ……」
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