第60話 ソル・フアナ・イネス・デ・ラ・クルスに転生しました・前編
(この話の冒頭の地文はナレーションで再生されています)
中米・メキシコ。
20世紀への転生を目指した転生航空機が、
「一体何が起こっているんですの〜!?」
ドッカーン!!
17世紀に墜落。
乗員・乗客全員が17世紀に転生する大惨事となってしまいました。
安全を知られたはずの天界の転生航空機に何が起きたのか。
調査官は驚くべき真実を目の当たりにします!
(ここから通常)
ワタクシの名前は奥洲郁子!
たった今、転生航空機が墜落して、誰とも知れない人物に転生してしまいましたわ。
これも全て馬鹿従兄の天成のせいですわ!
『テンセイがまだ戻ってこられないみたいだから、もう一人頼んでいいかしら?』
「まだ項羽ごっこをやっていますの?」
『そういうこと......』
「転生自体は構いませんが、転生先にもよりますわね。誰ですの?」
『エヴァ・ペロンよ』
「エヴァ・ペロン!? アルゼンチンでは聖女とも悪女とも呼ばれる、あのエヴァ・ペロンですの?」
『そうよ。今回は馬鹿がさぼっての緊急呼び出しだから、天界上層も配慮してくれたようね。あ、ただ、もし地味なのがいいならソル・フアナ・イネス・デ・ラ・クルスという手もあるけれど』
「二回続けてどマイナーな人物はおやめあそばせ! ワタクシは当然、エヴァ・ペロンに転生いたしますわ!」
『分かったわ。じゃ、行ってらっしゃい!』
......ということで旅立ったはずですが、まさか墜落するとは。
一体全体何故墜落したのかさっぱり分かりませんが、燃料が足りなかった気もいたしますわ。まさか元々......
いや、天界もさすがにそこまではいたしませんわ。
ワタクシ、墜落という事実に動転して疑心暗鬼にかられておりますわね。
それにしても、一体誰に転生してしまったのでしょうか。
「この娘はとても頭が良さそうだ。副王にお仕えすることができるんじゃないだろうか?」
副王?
副王というのは結構珍しい地位ですわね。
知っている限りだと、スペインの中南米の植民地に副王を置いていたはずですが。
「名前はどうしようか」
「ドーニャ・イネス・デ・アスバイエ・ラミレス・デ・サンティジャーナとしよう」
長すぎですわ!
この長過ぎるスペイン名は間違いなく中南米!
でも、明らかにエヴァ・ペロンではありませんわ。現代アルゼンチンの服とは似ても似つかない服です。
どうもメキシコのような気がするのですが、一体誰なのでしょう。
名前も知られない一般人転生だと悲しいですわ。
"女神の一言"
『ソル・フアナ・イネスは日本での知名度はどマイナーですが、メキシコ・ペソ紙幣に彼女の肖像が使われるくらいには現地知名度はあります。スペイン植民地時代を代表する女性であることは間違いないと言えるでしょう』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます