第47話 ストップ三国志!~霊帝に転生しました・前編

 俺の名前は奥洲天成。


 まあ、最近は奥洲の名前にふさわしくない転生も増えているが。


『そういうことを言うものではないわよ。次回の転生先が決まったわよ』

「ほう? 一体誰だ?」

『劉宏よ』

「……誰のことかは分からんが、とりあえず西漢か東漢のどちらかの皇帝だろうことは理解した」


女神注:一般的に後漢とされている光武帝建国の国は自称は漢でした。間にいる新王朝は僅か十五年だったので、滅んだという認識がなかったわけですね。

更に五代十国時代に後漢という別の国がありますので、日本で前漢と後漢と認識されている二国は中国では西漢、東漢となっています(都長安と洛陽の東西のため)。


『東漢・霊帝よ!』

「霊帝!?」


 霊帝といえば三国志スタート時点の皇帝ではないか。

 宦官に好き勝手やらせて、東漢を滅亡寸前まで追い込んだ一番の戦犯と言ってもいいんじゃないのか?


『そう! その霊帝に転生して、東漢を再興させるのよ。いくら劉備やら何やらが頑張っても、正統皇帝の頑張りが勝負を分けるものだし』

 な、なるほど……。

 東漢がボロボロになって群雄割拠からの三国時代到来だが、敢えてそれを逆に行く「ストップ三国時代・東漢は不死鳥のようによみがえったぞ!」を狙うわけか。


 うーむ、できるのかな?

 三国時代は詳しくないが、宦官に相当強く支配されていたみたいだからな。変に抵抗しようとすると、「あいつは危険だ!」と逆にやられてしまう可能性もありそうだ。

 史実では黄巾の乱が終わったあたりで病死していたと思うが、下手に動くとそれより早く死ぬことになるかもしれん。

 こいつは難題だな……。ある程度人生が約束されていて、勝負所に集中しさえすればよかったナポレオン・ボナパルトあたりとは比べものにならないほど難しい。



 うーん、パッと見た限りだと、曹操と袁紹との付き合いをどうするかによるのだろうか。孫堅や劉備は地方政権なわけで、メインどころの支配を争ったのはこの二人だからな。

 何とかして、この二人と仲良くする。

 ただ、そこに至るまでも一山もふた山もありそうだ。


 まあ、とりあえずは行ってみないことには何とも分からんところもありそうだ。

「うーん、正史は面倒くさいな」

『"コー工ー"の攻略本でも持っていく?』

「あ~、どちらかというと、昔、あの会社が出していた参考本みたいなものの方がいいな」

『あぁ、そんなものもあったわね。一昔前のコー工ーは幕末とかチンギス・ハーンとか挑戦的なものも作っていたし、歴史本やらコンテンツも沢山出していたけど、最近は売れ線しか出さなくて残念よねぇ』

 知らねえよ。

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