第44話 ジャンヌ・ド・ベルヴィル(の親友)に転生しました・前編
ワタクシの名前は欧州郁子!
今日も悪女ライフを満喫しますわよ!
『あ、郁子ちゃん、こっちよ!』
「むっ? あ、あれは! トプカプ宮殿(オスマン・トルコ盛期の宮殿)! 遂にハーレムのボスに転生できるのですね!」
『早くしないと、先を越されるわよ!』
「むぅ! 急ぎますわよ!」
ズボッ!
「……えっ? 今、ズボッて……。あれ、下に地面が、ない、ですわ……」
ヒュー!
「あ~れ~!」
"女神と天成の前フリ"
『ふ~、落とし穴作戦成功ね』
俺は、郁子が落ちていった穴を覗き込んだ。
これが転生への穴か。物凄く深い。
深淵を覗き込むとき、深淵もまたおまえを覗いているのだ、的な深さだ。
「……しかし、こんな簡単な手に引っ掛かるとは、我が従妹ながら何ともなぁ」
『悪女は競争率が高いし、彼女はやることが滅茶苦茶すぎるから後々の歴史に禍根残しまくりなのよね』
「うーむ、楊貴妃で大虐殺とか、メアリー・スチュアートで北方ルート開拓とか斜め上過ぎる方向に走っていたからな。で、今回は誰なんだ? 説得を端から諦めるような奴だということは分かるが」
『ジャンヌ・ド・ベルヴィルの友達アンヌよ』
「……全然知らないんだが」
『14世紀にフランス王に夫を殺され、キレてフランス軍皆殺しに走った女の、親友よ』
「あ~、何かマンガで見たことはあるな。百年戦争序盤に荒れまくったイングランドの雌獅子か」
『その友達よ』
「えらく友達を強調するな。本人に転生させなかった理由はあるのか?」
『本人はやばすぎるから。郁子さんを本人に転生させて、うまくいけばいいけど、斜め上モード大爆発したら、女神降格させられかねないわ』
「女神も大変なんだねぇ」
俺は改めてジャンヌ・ド・ベルヴィルのことを調べてみた。
「……こいつは中々やばいな」
『やばいのよ』
「でも、郁子を本人に転生させた方が良かったんじゃないのか? あいつは手段を選ばないから、フランス人絶滅! イングランド大勝利! フランスなんて存在しませんという滅多に見ない歴史を見られるかもしれないぞ」
『……あんた、もしかしてジェノサイド奨励派? たまにはジェノサイドされる側に転生してみる?』
「そんなことはない。ただ、あいつがやる分には、極端過ぎて面白いのも事実だ」
『面白いのと、責任取らされるのとは逆なのよ』
「ら、ラジャー……」
とはいえ、郁子なら親友の立場から滅茶苦茶なことを提案して、フランス人を絶滅させてしまうかもしれないとも思った。
何せ、ジャンヌ・ド・ベルヴィルの友人なのだから。
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