第28話 ドラキュラがやってくる~ヴラド・ツェペシュに転生しました・前編
『天成、次の転生先が決まったわよ』
「え~、もう決まったのかよ?」
『何か文句があるの?』
「いや、最近、ペースが早すぎないか? 偶には天界で他の連中の転生ぶりを見て、プー、クスクス、あんなことやってやがんのって大笑いしたいんだが」
『地上は人口爆発な上に高齢化待ったなし。転生したい連中はいくらでもいるのよ。のんびりしたいのなら、止めはしないけど、人間への転生が約束されないかもしれないわね』
確かに、地上の人類は増える一方で、どんどん死んでいる者は増えている。そういう面々が織田信長とか有名どころを奪い合うから、死んで尚も激しい戦いになる構図になっているわけか。
「分かったよ。で、次は誰なんだ?」
『ルーマニアはワラキアの公ヴラド・ツェペシュよ』
「ヴラド・ツェペシュ……だと?」
最近の大物路線からは一線を画して、難しいラインを攻めてきたな。
オスマン勃興期のルーマニア・ワラキア公ヴラド・ツェペシュ。
その余りに残虐な処刑方法から吸血鬼ドラキュラのモデルとなった暴君とも言われる人物であり、ルーマニアをオスマン・トルコから救った英雄とも称せられる人物だ。
「……でも、無理ゲーじゃね?」
ヴラドはオスマンから守るは守ったが、あくまで守ったに過ぎない。
何せオスマンの勃興期で、ドンドン強くなっている時代だ。
君主はメフメト2世。コンスタンティノープルを陥落させた奴だ。
一方、ルーマニアはトワラキア以外にランシルヴァニアとモルダヴィアに別れて付いたり離れたりを繰り返している。
一丸となってもトルコには勝てないのに、その一部だけで勝つのは無理だ。
もちろん、オスマンの尖兵となってしまうという手もあるのかもしれないが。
というか、ヴラドはヤバいだろ。
処刑方法もヤバいし、父親の死の前後とかもダメだろ。
『心配いらないわ。ここまで読んでいる人達は、おそらくこの話を90話以上読んでいる人達よ、面構えが違うわ』
そういう問題かよ。
とはいえ、嫌だと言って、通じる世界ではないのだろう。
「今回は、別の奴が来たりはしていないだろうな?」
前回みたいに、実は郁子がオスマンの宮廷にいましたとかでは話にならないからな。
『大丈夫よ。多数関与させると歴史無視して、当人達でワチャワチャしてしまう可能性があるから、今回は誰もいないわ』
「分かった。……はぁ、自信はないけど、行ってみるか」
かくして、俺は15世紀のルーマニアへと飛んだ。
そこは血の制裁と復讐、暴力でしか生きられない世界だ。
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