幻燈
南沼
幻燈
道を歩いていると、亡くなったはずの小学校の恩師に出会った。思いがけず元気そうなお姿で、しばし久闊を辞し歩み去ると今度は初恋の娘に行き会った。どうやら私の事を覚えてくれていたらしく、昔話で盛り上がった。ああ、これはもしかしたら走馬灯のようなものなのかもしれないとようやく私は気付きつつあった。またしばらく歩くと、道の真ん中に母の後ろ姿があった。母は振り返ると「ごめんね」と言った。「ちゃんと産んであげられなくて」彼女は股から夥しい量の血を流していて、目と口が無い。後ろを向くと、同じように目も口もない多くの人が私を見ていた。そうだった。私の極めて短い人生に、それらは存在し得なかったのだ。私は何処へ行くのだろう?
幻燈 南沼 @Numa_ebi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます