第148話
ゆらゆらふわふわ夢の中。由香里は
夕日に
くいっ、と右手が引っ張られた。由香里は手を払った。
「由香里」
誰かに名前を呼ばれた。
「由香里」
くいっ、と右手が引っ張られた。呼んでいる。……行かないと。探しに行かないと。オレンジ色のウサギを。
由香里はドアに手をかけて、不安にかられて振り返る。ドアを開けたら、この幸せな空間が消えてしまう。
「由香里!」
アズキが呼んでいる。……でも、ここを出たくない。やさしくてあたたかな愛情にくるまれて、安らかなこの家の中に閉じこもっていたかった。大好きな祖父母とシマと、ずっといたかった……。ドアノブをにぎった右手が、行くな、と痛む。由香里は痛みをこらえてドアを開けた。
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