第144話
「んっ⁉」
次の瞬間、アイリスは杖ごと
「アイリス!」
由香里はすぐに体を起こして、床に倒れたアイリスの肩に手をかけた。ケガはなそうだけど……アイリスの様子が、何か変。アイリスの横に倒れた杖が、
ヘザーの金色のドレスの
白い床が白いタコ足でうねる。タコ足は、うにょりぐねりと床の上を
「マズいな。アイリスの奴、まともに食らったな」
由香里とアイリスを背に
「ほう。チャシュは石になったか」
ヘザーの冷たい金の目が、アイリスを
「アイリス! ヘザーの話を聞いちゃダメ!」
由香里の声がする。体に力が入らない。頭の
「アイリス……しっかり……」
由香里の声が遠のいてゆく……。視界がぼんやり閉じてゆく……。耳元でヘザーの声がした。
「チャシュはアルキスの男だろう」
「ちげーよ。俺とチャ……」
遠くでアズキの声がする……聞き取れない。ヘザーの声がやけにはっきりと聞こえた。
「チャシュはモテる。アルキスが
アイリスの心を冷たい風が吹き抜ける。
「お前はこの世界にチャシュと二人だけ。互いだけを見つめ合い、抱き合い、
チャシュと二人で
「アイリス……」
由香里が遠くで呼んでいる。何か言っているけれど、わからなかった。
「チャシュは石になった。お前の横に、チャシュがいない。魔女のお前は、石になれない。魔女は女神を召喚するために、全てが石になった世界でたった一人、生き続けなければならない」
ヘザーの声が
「お前は石になったチャシュを抱きキスをして、その灰色の石を涙で
アイリスの心に絶望が、真っ黒な
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