第143話
アズキとアイリスが、由香里を守るように前へ出る。
「ほう、これは」
ヘザーが熱い視線をアズキに向けると、ぽってりとした
「アルキス、私の愛しい男。私のこの
ヘザーはねっとりとアズキに視線を
「アルキス、この体が欲しいのだろう」
ヘザーの熱い声。
「いらねーよ。そんな体」
アズキは冷たく答えた。それは、
「この私に会いに来たのだろう」
「殺しに来たんだよ」
アズキの顔、それは、女神の記憶の中で見た女神殺しの顔だった。
ヘザーの顔から
「由香里、その男はお前を殺す」
ヘザーはアズキを指さした。真っ赤なマニキュアが毒々しい。
「でも、ツガイモは女神を守る者なんでしょ。私のツガイモたちが、裸で私を
ヘザーが、キッ、と由香里を
「あれはお前を
ヘザーは真っ赤な口を開けて笑った。
「……ナマコじゃなくて、アンコウか」
由香里が呟く。
「チョウチンアンコウだったかな。オスの体が
「ほう。私と同じことを、お前も考えたのだな」
「……考えたよ。ツガイモの精なしで生きられる体になるにはどうすればいいか? でも、それは無理だと
「そうであろうな。私もそうだった。お前も私も他の女もAもBも全ての女神が、血を吐いてもがき苦しみ、諦め
ヘザーの中で女神たちがざわめいた。
「このモルモフで生きてゆくために、私は体を美しく
ヘザーの体が怒りに震える。
「女神がどんな力をつけようと、ツガイモの精を
絶望の中で死んでいった女神たちが叫んでいる。
由香里は何も答えずに、息を整え心を静めた。
「私は殺され私の体は捨てられて私は体を失った。だが心は、ここに残り
ヘザーの目がギラめいた。
「私は女神だ。
ガキッ!
魔女の青い杖が、金色のヘザーのドレスを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます