第126話
白く白く真っ白に光り輝く女神の宮殿、白い夢。窓もドアも何もない白い部屋に一人、女の人がいた。真っ白なワンピース、それはまるで、白い床から白いワンピースの女の人が生えているようだった。
冷たく
「大丈夫ですか? ずっと呼んでいたのですよ。私の声が届いてよかった」
か細い声だった。折れそうなほど細い体。不安げに
「心を落ち着けて、私の話を聞いて下さい。私もあなたと同じ女神です。魔女によってモルモフに召喚され、そして殺されたのです。このままでは、あなたも殺されます」
そう言われても、由香里はあまり驚かなかった。発作で何度も死にかけてるるし、修業で何度も殺されかけたし、不死の樹海では何度も殺された。修業をしたのは自分とアズキを守るため。この宮殿の中、白い夢で、化け物に殺されないために。
「モルモフの女神は
女神が
「何の説明も
か細い声、その言葉に
「……死んだ女神の体は? この部屋の下に、宮殿の中に眠っているの?」
「いいえ、眠ってなどいません」
女の人は静かに立ったまま首を振った。
「死んだ女神の体は、モルモフの外に捨てられるのです。元の世界に捨てられる。女神の召喚とは、女神の死体と新しい女神を交換することです」
死んだら元の世界に返品されるということか。キツイな、それは。今さら元の世界に戻されても、眠れる場所などない気がする。女神は死んでも安らかに眠ることすらできないらしい……。その結果がこれか。由香里は目の前に立つ女の人を見た。
「それで? 私を呼んだのは?」
「あなたを守るためです」
「何から?」
「魔女と
「えっ?」
「魔女のアイリス。暗殺者はチャシュとアルキス」
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