第4章 不死の樹海
第58話
ふと気づけば森の中。
うっそうと木々が
由香里は、茶色いジャージにスニーカーという
「……ここ、どこ?」
由香里は
「本の中、だな」
アズキは鼻をヒクヒクさせて地面を
「とりあえず危険はなさそうだ。ここに
「……道? あ、待って、アズキ」
オレンジ色のウサギは軽やかにピョンピョン進んでゆく。それを追う由香里の方は
川を見つけてひと休み。
「由香里、大丈夫か?」
「……なんとか大丈夫」
カサッ。
アズキの耳がかすかな物音を
「アズキ? どうしたの?」
「……シェパード? 警察犬? ……
由香里は
「飼い主は? ……首輪ないけど、
大型犬は
「私はナルキッスの使いです」
「い、犬が、
由香里が片足を一步引いた。……マジマジと犬を見る。
「……犬も、喋るんだ」
由香里は片足を一步戻した。しゃがんで犬と目を合わせる。
「……ナルキッス? ……私は由香里。このウサギはアズキ。あなたの名前は?」
「ナルキッスは、あなたに武術を教える男です。私に名前はありません。私はナルキッスによって、土から作られた物です」
「土からつくられた者?」
由香里はキョトン。説明を求めるようにアズキを見た。
「そうだなぁ。由香里の世界で
「……よくわからないけど、名前ないならつけていい? 土からってことで、ツッチーって呼んでいい?」
「……はぁ、どうぞ。私はナルキッスに、女神とツガイモを連れてくるように、と言われて来ました。それでは、山小屋までご案内します」
アズキはピョンピョン足取り軽く、由香里はヨロヨロもつれる足で、大型犬ツッチーの後をついて行った。
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