第55話
サラサラサラ……。
本と本の間に
「……アイリス、この中からどうやって武術の本を探すの?
「ん、ないわよ。それに今はほとんどの本が
「……何が来るの?」
由香里はビクビクしながら
「本よ。んー、由香里ったら、そんなに
そう言ってアイリスは笑ったが、由香里はますますビクついた。
「……さまよって、森の?」
「ん、たまにそういう者もいるのよねー。んー、そうねぇ。例えば……」
アイリスは由香里に体を
「私が料理の本を探して、この館に足を
「……消える?」
「私は作りたい料理があって、そのレシピを探してここへ来たのに、いつの間にか私は、料理する、という目的を忘れてしまう……。次々と目の前に現れるものを
由香里はアイリスの腕をギュッとつかんで立ち止まった。
「ここを出よう。アイリスが消えちゃう」
アイリスは目をクリッとさせて笑った。
「消えないわよ。私は館の管理人だもの。んー、例えが悪かったかしらね。私が言いたかったのは、目的を忘れないでってことよ。目的は本の中で地図になるわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます