第49話

 朝食のスープを飲み干して、由香里もアズキも満足満腹まんぞくまんぷく

「ごちそうさまでした」

「ごち」

「おっはよーん!」

 元気溌剌げんきはつらつアイリスが、ババーン! と登場。いきおいよく部屋に入ってきた。由香里が声もなく飛び上がる。

「朝から大声で入ってくるな! 由香里をおどろかせるんじゃねーよ! 邪魔じゃまするな!」

 足もとで怒鳴どなるウサギをスルーして、アイリスは由香里の顔を両手ではさんでのぞき込んだ。

「んー、顔色がよくないわよ、由香里。んー、ちゃんと眠った? もしかして、エロウサギが寝かせてくれなかったのかしら?」

 由香里の顔が赤くなる。アイリスはウサギをにらみつけた。 

「俺のせいじゃねーよ。昨夜ゆうべひか自制じせいしたんだ」

「えっ? あれで……」

 由香里が絶句せっくする。

きしにまさ性欲せいよくね」

 アイリスがあきかえった。

「また夢を見たんだね」

 チャシュが由香里のTシャツをフンフンぎながら言った。

「怖くて眠れなかったのかい?」

 由香里は小さくうなずいた。

「由香里、その服脱いで」

「えっ? 今ここで? このTシャツを? でも、これいだら私、はだかになるんだけど……」

「脱いで。調べるから」

 そう言うとアイリスは、ウサギと猫をお風呂場ふろばほうり込んだ。

「私がいいと言うまで出てこないで。のぞ厳禁げんきんよ」

 

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