第48話
由香里はクリーム色のTシャツを着てぐったりと、ベッドの上でのびていた。
「大丈夫か?」
「うん。ちょっとのぼせた。
アズキはちょっと
「ほらよ」
水で
「ありがとう」
ほほ
アズキの
「……水、どこにあったの?」
「箱の中。飲むか? ほら」
「ありがとう」
由香里は体を起こすとアズキから水の入ったコップを受け取り、美味しそうにゴクゴク飲んだ。そして再びベッドにへたりとのびた。
「……水とスープはたくさんあるの? ……石化しないの?」
「あぁ。しないみたいだ。チャシュの話だと、スープと水だけは、まるで
「へー、そうなんだ」
アズキはウサギの姿になると、ピョンとベッドに飛び乗った。由香里の
由香里はアズキをなでながら、天井の
「……宮殿には女神とツガイモしか入れないの? こっそり
「ない」
アズキは
「宮殿は女神の
「そうなんだ。……え、でも」
由香里は上半身を起こした。その
「3人のツガイモは宮殿の中にいたけど? 半分透けてる私がいたから?」
「というよりかは、由香里が宮殿を脱走した直後で3人は数秒後に吐き出されるはずだった。それが、吐き出される
「……私以外にも女神がいるってことは?」
「ない。女神は1人しか存在できない。今のモルモフの女神は由香里だ」
「……女神じゃないなら、中にいるのは……私が見た、あれは……何?」
のぼせていた由香里の顔色が
「
アズキが
「……どんな?」
モルモフの化物なんて
「さぁな。ニセ魔女が
宮殿の中に入って
「……異世界かぁ。私の知ってる化物かなぁ……」
由香里はタオルを首にかけ、ベッドの上にあぐらをかいて考えた。
「……タコかなぁ」
そう呟いて、由香里はひとり
「何がタコなんだ?」
アズキはベッドにちょこんと座って由香里を見上げた。由香里はほほ笑み、かわいいウサギなでなでした。
「化物の正体がわかるまで、タコにしておこうと思って。宮殿の中で大ダコが八本足をウネクネさせてるイメージ。
「化物を食う気かよ⁉」
「朝ご飯、朝スープにしようね」
由香里は笑ってウサギを抱き上げた。
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