第7話
「でも、何を話せばいいんだよ?」
「そんなこと、家に帰ればわかるでしょ?」
「確かにそうかもな」
僕は言われるままに、家の前についていた。
何を話せばいいのかはわからない、でも確かにここで何も話をしないというのも後悔することは目に見えていた。
そのことを、自分の話をしたときには彼女にはわかっていたのかもしれない。
「ただいまー」
「あ、兄貴おかえり…って誰?」
「お兄さんの彼女です」
そんなことを彼女が言うものだから、僕のほうを見て、顔を出した妹は顔をすぐに引っ込めると慌てていた。
「お母さん、兄貴が彼女を…」
「え?」
そして、母親と妹が一緒に顔を出したのだけれど、そこで彼女はすぐに家から少し出たところでお辞儀をする。
「すみません、急に来てしまって」
「いいのよ、上がって行くでしょ?」
「いえ、その今日は近くで遊んでいたので、挨拶だけでもと思いまして」
「そうなのね」
「はい、明日よければ、ゆっくりお話しさせてください」
「ええ…」
「それでは、塾がありますので、あたしはこれで」
そうして彼女は踵を返す。
僕は家に入って行こうとしたけれど、すぐに妹に腹を殴られる。
「ぐは…何するんだ?」
「何をやってるのよ」
「何がだ?」
「送っていきなさいよ」
「え…」
「そういうところで気が付かなったから、これまで彼女がいたことないんでしょ、こういうときにちゃんとする」
「わ、わかったよ」
そうして僕はすぐに彼女を追いかけた。
すでに近くに彼女の姿はなかった。
でも僕はあの場所に向かっていた。
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