第4話

なんだよこれ…なんでこんな事に…!


「…君、名前教えて」

「…羽場宗助」


クソっ!こういう事かよ…!

何が嫌で俺がこの二人の御守りしなきゃならんのだ


だって二人とも血の気が多いからどう考えても俺がストッパー役だろ?新人に任せんなボケ


…いや、もしかしたら御剣さんの方はまともかもしれないけどね?


「なるほど…お主の名前は羽場宗助と言うのだな」

「そうだよ…で?俺に話しかけたりして何がしたいんですか姫様方〜?」


お前ら転校生なのに俺にわざわざクラスメイトが見てる前で話しかけるとかこれもうわざとだろ…


お前らが美人なのもあってクラスメイトがすっげぇざわざわしてるよ


「姫様、なんて…そんな…」

「照れんな!!!」


皮肉も分からねぇのかオメーはよぉ!あ"ぁ"!?

…いや、うん、幾ら気分が最悪だからってキレるのは良くないな、うん


だから落ち着け、落ち着くんだ

皮肉が伝わらないくらいなんてことないだろ…?


「宗助、放課後校門前に集合」

「は?え?は???」 


オメー簡潔過ぎるんだわ!

何?集合して何をするんですかぁ〜???

それだけ教えてくれねぇかなぁ!?マジでさぁ!?


つーかあの時もまともにオメーが話さなかったから俺めっちゃ割食ってるんだが!?


しかしそんな思いは届かずさっさと席につく黒羽

御剣に至ってはまだうわ言のように「姫、姫…」って繰り返してる、怖い


姫はちょっとした皮肉のつもりだったって言えば

許してくれるかな…?


「み、御剣さん…そろそろ席に…」

「あっ…そ、そうだよね!ごめんねっ!」


…誰?マジで誰?

話し方も声も違うんだけど?別人格か?

なんなのあいつ…


それから、恐らく俺にとって今日最後の平穏の時間である授業が終わり


黒羽に言われた通り、俺が黒羽と御剣さんを校門前で待っていると突然後ろから声をかけられる


「ん、宗助、依頼行く」


黒羽と御剣さんが来たらしい

…いや、忘れてたけど依頼ってなんだよ!?


「依頼って何…?」


結局何をするんだよ依頼って?

異能の研究とかか?


「おっと、それはここでは言えないでござるな」

「あぁ…そうか、それで?目的地は?」


確かにこんな人が多い場所で言えないか

俺も少し迂闊だったな、まぁ依頼って事は人助けだろうし別に聞かなくても良いか


「あー、それも言えないでござる、だから付いてきて欲しいでござるよ」

「あー、分かった、ついていくわ」


そうして制服のまま俺は二人についていくと路地裏に連れてこられる


そして元々そこで待っていた、【転移テレポート】の異能者に転移させられた先は…


クソデカい監獄だった


「ここどこ?」

「地下監獄…まぁ異能者用の特別な監獄でござるよ看守も全員異能者でござるしな」


なるほどね

確かにそれなら異能者に依頼とか来そうだ


「…で、結局依頼ってなんなの黒羽?」

「処刑の為」


相変わらず簡潔ですね黒羽さん

それだと何もわかりません、キレそう


黒羽に聞いた俺が馬鹿だったわ

御剣さんに聞こう


「御剣さん、なんの依頼をするか教えてくれ」

「伊藤甲輝…異能犯罪者の処刑の警護でござる」


は?え?いや…え?

なんて?


「なんで俺みたいな新人が…」


責任重大すぎるだろ…

こんな新人に任せて良い仕事じゃないでしょ…


「あー、伊藤の異能である【疑似電気ダミーエレキ】は疑似電撃を操る異能でござってな…」


疑似とはいえ電気操作!?

いやいやいや…そんな強い異能者への護衛としては俺じゃちょっと力不足でしょ…


俺が要らない事への補強でしか無いって


「いや、だからって俺が行っても…」

「まぁまぁ、最後まで話を聞くでござるよ」


御剣曰く処刑される奴…伊藤甲輝の異能である

疑似電気ダミーエレキ】は熱エネルギーの無い電撃を生成、操作できる異能


そして生成、操作できる範囲は半径5mなんだが…操作を放棄すれば更に遠くまで飛ばせるんだと


電撃を避けられる奴とか居ないし遠距離攻撃できる殆どの異能は視界が通ってるのが条件だから

疑似電気ダミーエレキ】のいい的らしい


しかし【影獣】と【武装自由ウェポンズフリー】は視界に依存しない遠隔攻撃らしくそれと近い異能を持つ俺も警備に選ばれたらしい


まぁ…それが本当なら仕方ないし

納得はしたけどさぁ…


「そこまでガチガチにそいつ殺す異能者ばっか配備するとかそんな脱走前提にしなくても…」

「処刑の為に外に出すと大体脱獄の為に暴れるから仕方ないでござるよ…」


ふざけんな、初陣が危険すぎるだろ

もっと経験者連れて来いよ


死にたくねぇよ、次死んだら流石にアルザレル様も生き返らせてくれねぇだろうしさぁ…






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る