第3話

ピンポーン


朝早くにチャイムが鳴る

しかし俺以外の家族は気絶しているかの如く起きなかったので、仕方なく俺は家のドアを開ける


「君が黒羽ちゃんを倒した人…だよね?」

「…誰ですか?」


黒羽、その名前には聞き覚えがある

俺と戦った女、影獣を持っていた方の名前だ


「私は赤村織姫、黒羽ちゃんや御剣ちゃん…あなたと戦った子たちの上司なんだけど…」


俺はその言葉を聞き警戒を引き上げる

あいつらの上司となれば何をされるか分からない

それに後ろには家族が居るからな


「臨戦態勢!?そんなに警戒しないでよ!?」

「いや、あの二人の上司なんで」

「二人共いい子なのに…」


しかも早朝とはいえこの静かさは間違いなく人払いされているからな


「もしかして赤村さんも戦いに?」

「いや違うよ!?私は謝りに来たの!うちの子たちが突然襲いかかってごめんなさい!」


俺は混乱する、なぜ突然襲いかかられた奴の上司に突然謝罪されているのだろうか、意味がわからない


お前らは謝罪すらも突然やらなきゃ気がすまないのか?突然大好きか?


「謝罪は受け入れるけど…謝るなら襲わせるなよ…あいつらの上司だしそれくらいできるでしょ…」

「いやぁ…黒羽ちゃんが自分と同じ異能にテンション上がっちゃって無理矢理捕縛しようとして戦闘になったんだよね」


なるほど、テンション上がったのに逃げようとしたから強制連行しようとしたと?


…いや、まだだ、まだもう一人が襲いかかって来たのは故意かもしれない!


「え?じゃあもう一人の…御剣さん?はどうして俺に襲いかかって来たんですか?」

「いやぁ…御剣ちゃんは黒羽ちゃんがやられたから気絶して連行しようとしたらしいよ」


あー、まぁ確かに仲間がやられてるんだしちょっとは乱暴になるか、影の壁のせいで黒羽が何したかも見えてないんだからな


「…もしかして俺、本来は襲われる筈じゃない?」

「うん、本来は話聞いて貰うだけだね」


黒羽、俺はお前を許さん

無駄に戦闘させるなや


…いや、俺の早とちりもあったけどね?

でも最初にすることが影で壁作って捕獲は可笑しくないかな…?


「…あいつらの上司って事は赤村さんも異能者だったりするんですか?」

「うん、私も異能者だよ」

 

赤村さんも異能者か、なら警戒はしとかないとな

まぁ大丈夫だとは思うけどな!


「…それでその異能の能力は?」

「いや、流石にそれは言えないね!」


なるほど、怪しい

かと言ってここで急に襲いかかるほど険悪な仲じゃないからまぁいいわ


「なるほど、それで…結局何が目的で?」

「え?いや、だから謝罪を…」


それどうせ嘘だろ

いや、謝罪は事実だろうけどそっちはついでだろ


謝罪だけなら人払いの必要性が無いからな

異能関連の話をしたいとしか思えない


「こんな早朝に人払いまでして謝罪だけはさすがに無いでしょ…」

「まぁ…流石にバレちゃうか…えーと、私達が所属してる国家異能管理局に所属して欲しいんだよね」


う〜ん、所属かぁ…嫌だな

断りたいが…これは受けた方が良いんだろうな


だって"国家"異能管理局だもんなぁ…

間違いなく国家組織だろうからなぁ…


でも勘違いだったとはいえあの二人と一緒の組織はね、ちょっと遠慮したいよね


「その組織の活動内容とかは…」

「ちょっとした依頼を受けるだけ!しかも報酬は高額だよ!」


なるほど、依頼だから人助けできるのか

しかも報酬もある


まぁ、それなら断ると何されるか分かんないし

受けるか


「分かりました、所属しますよ、でも手続きは…」

「手続きはこの書類にサインしてくれるだけで良いから!簡単に済むから!」


そう言って契約書的なものを出してくる織姫さん

…契約書を見てみたが俺が異常に不利でもない普通の契約書だな、サインするか


「サインありがとうね!それじゃあ…黒羽ちゃんと御剣ちゃんを宜しく!」


は?え?

いま…凄い不穏な事を言われなかったか…?


ーーー


「皆さん、今日は転校生が二人来ています、それでは二人とも〜」

「黒羽美月、よろしく」

「某は御剣姫華と申す、よろしくでござる」


う、うわーっ!?あの二人だーっ!?

助けてアルザレル様!

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