27.
「あら、魔王になってくれないと困るのよ」
エリーゼはそう言って笑みを浮かべていた。
そんなエリーゼに俺は叫んだ。
俺が魔王化して、
「魔王になんかなるもんか!」
俺は、そう言ってその場から逃げ出そうとしたが、しかし、俺の行動を読んでいたのか、
エリーゼは、俺の手を掴んで離さなかったのだ。
そして、俺の頬に平手打ちをしてきた。
その痛みに、俺は驚いて、エリーゼを見た。
エリーゼは、まるで、俺を睨み付けるかのように俺を見てきた。
そんな、エリーゼは俺に対してこんな事を言いだしたのだ。
「逃げないで、ロイスは、魔王に成りたいんじゃなかったの?」
エリーゼの問いかけに、俺は何も答えられなかった。
その答えを聞いたエリーゼはまたもや、俺の事を煽ってきたのだ。
エリーゼの言葉に俺はつい、カッとなってしまった。
俺をエリーゼはまたもや、挑発してきた。
そして、俺はそんな、エリーゼに怒鳴ってしまったのだ。
俺は、俺の中の感情が爆発してしまった。
そして、エリーゼを罵倒してしまう、
「お前には、関係ないだろう! 黙っていろ」
俺は、そう言って、俺の事を見下ろしていたエリーゼを突き飛ばして、エリーゼから離れて、部屋から出て行った。
俺はその足で、宿を飛び出したのだ。
エリーゼに、そんな事まで言われて、もう、俺には我慢の限界だったのだ。
どうして、エリーゼは、そんな酷いことが言えるんだ?俺だって、エリーゼをずっと支えて来たつもりだったのに……。
なのに……なんなんだ?
エリーゼは、いつもいつも俺のことを貶す。
俺は、ただただ、悔しくて悲しくて仕方がなかったのだ。
そんな俺に追い打ちをかけるように、エリーゼはまたもや、とんでもない言葉を掛けてきたのだ。
俺はその言葉に驚きを隠しきれなかった。
だって、俺は、エリーゼの言った事に、耳を疑ってしまったからだった。
それは、エリーゼの口から出たとは思えないような言葉だった。
エリーゼは、そんな俺にとどめを刺すかの如く、さらに言葉を続けてくる。
俺は、その言葉を聞いた途端に愕然としてしまったのだ。
「だから、魔王化しないと貴方も困るわよ?」
俺は、そんなエリーゼの言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
まさか、エリーゼの口から、そんな事が出てくるなんて思ってもいなかったからだ。
そんな俺にエリーゼは、さらに追い打ちをかけてきた。
「魔王化したら、貴方はどうするつもり?」
エリーゼは、俺に向かって、またもや質問を投げかけてきたのだ。
俺は、その言葉を聞いただけで、心臓が止まりそうになった。
だって、その言葉は、俺にとって、一番聞かれたくない言葉だったからだった。
そんな俺に、エリーゼはさらに追い討ちをかけてくる。
「貴方は、魔王にならなければ、この世界は滅ぶわよ」
その言葉に、俺は、何も言い返すことが出来なかった。
だって、それは、事実だったからだ。
俺が魔王に成らない限り、俺の大事な仲間達が殺されてしまうのだ。
それだけは、どうしても避けたかったのだ。
だから、俺は、魔王に成ることを決意したのだ。
二回目の魔王化だが、自我さえ保てればいいと思い、封印した、魔王の力を解放して行く。
身体が燃えるような闇の炎に包まれて行く。
やはりだめだ、自我が保てそうにない。
「うふふ、闇に抱かれて、闇に誘われ、闇のユリカゴにその身を堕とす、堕落は甘美な美酒となり、闇は飢えを癒して行く、ああ、愛しい愛しい私の魔王、ロイス様ぁぁぁ♡」エリーゼの声に導かれ木霊して行く負の魂、
俺は……また、失敗するのか?
「目覚めのお時間ですわ、魔王ロイス、お帰りなさいませ」
「ああ、そうだな、エリーゼ」
そのエミは憂いた赤い果実のように美味で、そのままエリーゼに手をかけると
「お前も俺の糧と成れ」
そう言うとそのままエリーゼの身体が崩れ落ちる。
その動作を不気味な笑みを宿して見ていた。
「わ、我が主、何故ですか?」
「蘇らせてくれてありがとう、でも、もう、お前は要らない」
俺は、エリーゼの亡骸を指差すと、そう告げた。
エリーゼは、俺の言葉を聞くなり、信じられないと言う表情をしていた。
そして、俺の事を睨み付けてきたのだ。
そんなエリーゼに、俺は、冷たくこう言った。
その言葉に、エリーゼは、絶望の表情を浮かべていた。
俺はそんなエリーゼに、とどめを刺した。
そして、エリーゼの身体を燃やすとそのまま後を立ち去った。
「あんさん、なんで」
直ぐに異変に気付いたのは、アンナだった。
「エリーゼは俺を裏切り、貴重な時間を消費したから、パーティーから追放しておいただけだよ」
「あんさんはエリーゼはんを大事にしていたんじゃないの?」
「大事? 俺はあんな女、大嫌いだ」
私は、そう言ってその場を去ろうとすると、アンナが俺の腕を掴んだので
「アンナ、君も、消えるか?」
そう言うなり、手をアンナの頬に伸ばすと軽く引っ掻いた。
アンナの顔色が青ざめるとそのまま手を放して行く。
その手を、俺は、握りしめて、拳を作ると、それを思いっきり地面に叩きつけた。
その衝撃音に、アンナは驚いていた。
「なんや、どないしたん?」
「なんでもねぇよ、ただ、俺が無力で腹立たしかっただけだ」
「そんな事あらへんよ、あんさんのせいやない、悪いのは全部エリーゼはんや、気にすることあらへんだよ、それに、エリーゼはんは、きっと、何か理由があって、そんな事いったんや、だから、大丈夫や、安心してや、うちが、守ったるさかい」
そう言って、俺を慰めてくれる、アンナの言葉に、俺は、少し、救われたような気分になった。
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