19.

そんな事を考えていた俺だったのだが、そんな俺に、アルナさんが話しかけて来たので、彼女の方に振り向くとそこには、

彼女の美しい笑顔があったのだ!

思わず見惚れてしまいそうになるも俺は何とか踏みとどまってから言ったのだ。


「どうしたんですか?アルナさん?」


すると彼女は、俺の頭を撫でながら微笑んでいた。

そんな彼女を見ていると俺も、何だか癒されてしまうのだが、そんな時に、アルナは俺にこんな事を言ったのだ。


「もう、大丈夫そうね? 貴方が落ち込んでいると、心配なのよ、だって貴方は私の命よりも大事な旦那様なんですからね!」


そう言われて俺は思わず照れてしまったのである。

何せ、今迄そんな事言われた事もなかったから、俺は嬉しくてつい彼女にお礼を言ってしまったのだ。

そんな俺にアルナさんは、嬉しそうに微笑むと、今度は俺の頭を撫でてくれたのだ。

そして、そんな彼女の様子を見ていたアルミナも俺の側に来てこんな事を言ってきたのである。


「本当に、君は甘えん坊だな、まあ仕方ないか、 今まで我慢してきたからな、それに、今は私もいる事を忘れるなよ?」


そんな事を言われてしまったのだが、俺は、思わず、二人を見つめてしまっていたのだ。

そんな俺に、アルナさんとエレミアさんが顔を見合わせて笑っていたので俺は恥ずかしくて下を向いていたら、その時だ、俺達がいる部屋の扉を蹴破って、

数人の男達が部屋に入って来たのである。

その中には見覚えのある顔もあったのだ、そうその男は、あのラバンだったのだ、俺はそんな彼を見て驚いたのだが、それ以上に驚く事が起きたのである。

何と、その後ろから現れたのは、何と俺がよく知っている人物がそこにいたからだ。


その人は俺が昔、好きだったエリーゼだったのだ!


「エリーゼどうしてここに」


そんな俺の言葉に、彼女も少し、戸惑った様子で、返事を返すのだった。

そして、俺が戸惑っている間に、アルナさん達もやって来たみたいで、その姿を見て驚いていたのである。

しかし、そんな俺達にはお構い無しに、ラバン達一行は俺を無視して話し始めたのだ。


「私をパーティメンバーにしたのはロイスでしょ」


エリーゼの言葉は確かだ。

しかし、俺だって言いたいことはある!

俺は反論した!

確かに、俺とお前が初めて会った日の事を忘れたわけではない!

あの日、お前と出会った時、俺が、どれほどまでに衝撃を受けたことか。

だけどな?俺はあの時、誓ったんだ、お前を絶対に見返してやるんだって!

そして、お前に認めさせてみせるってさ、そのためには何だってやってきたつもりだし、努力も重ねてきたつもりさ!


「エリーゼ様、どうなんだよ、俺の事をどう思ってんだよ」


それは今エリーゼに聞く言葉か?


「所で貴方誰でしたっけ?」


その言葉に彼は固まってしまう、


「そんな、エリーゼ様」


「ああ、思い出した、ロイスと婚約破棄したばかりの時に、付きまとって居た。

ただのストーカーだったわよね?

私、貴方が怖くてしかたなかったわ、だから私、貴方にこう言ってたわね?

私は、貴方の事が怖いから近付かないでって、それすらも無視した貴方は、本当にどうしようもない人ね?」


(いや違う、そうじゃないだろう?お前のせいだろ! お前が俺から何もかも奪ったんだろ)


俺は心の中で叫んだが、彼女はそのまま続けて言ったのだ。

彼女のその言葉を聞いた男達の中で一人、肩を震わせている者がいた。

そう、ラバンだ、どうやら今の彼女の言葉がよほど頭に来たのだろう、


「おい、お前等いい加減にしろよな、さっきから黙って聞いてれば言いたい放題言いやがって、覚悟しろ!」


そう叫ぶと同時に彼は俺達に斬りかかって来たのだ!俺は、急いで大剣を抜くと奴の剣を受け流す、 それから俺達はお互いに、

一歩も引かずに戦っていたのだが、そんな戦いをしている間に、周りの様子が一変していたのだ。

何故なら、周りにいた筈の者達全員が、戦闘に巻き込まれない為なのか、逃げていたからである。


「おいおい、マジかよ」


思わず呟いてしまった俺だったが、そんな、俺の気持ちを知ってか知らずかは分からないが奴は、こんな事を言ってきやがったのだ!

奴は、こう言ったのだ!


「どうしたよ?この程度かよ?それなら、俺の方がまだ上だぜ」


俺は、その言葉に反論したのだ!


「ふざけんなよ、こっちはまだ本気出してねぇだけだ!」


俺の言葉に、彼はニヤリと笑うと言ったのだ。


「へぇ~、じゃあ、見せてみろよ、てめえの力をよ!」


その言葉に、俺は剣を構えたまま、彼を睨むように見つめると、彼の仲間が俺に向かって、何か言ってきたのだ。


「おい、お前、そいつに勝てるのか?」


そんな、仲間の言葉を、俺は鼻で笑ってやったのだ!

そして、俺は言ってやったのだ!


「お前等が、俺を心配するなんて、百年早い」


ってな。

そんな俺の言葉に、奴等は呆れた顔をすると、 俺にこんな事を言って来たのだ!


「俺の実力が知りたいから、勝負しろだと?」


俺は、こんな雑魚共と、戦う理由がないから、断ろうとしたのだが、その時、俺の前に、一人の人物が現れたのだ。

その人物は、なんと、アルナさんだったのだ!

アルナさんは、俺達の間に割って入ると、奴等に、こんな事を言ってくれたのだ。


「ちょっと貴方達、私達の大切な人に手出しをするのは止めて貰えるかしら、これ以上、私を怒らせるのは、止めた方が、身のためよ?」


そう言って、アルナさんは殺気を放っていたのである。

そんな彼女を見た奴等は震え上がり、そして、奴等のリーダーであるラバンまでも怯えてしまっていたのだ。

俺は、思わずそんな彼に声を掛けてしまったのだ。

俺が、そんな風に言うと、ラバンの顔色は、真っ青になってしまったのである。

そんな彼を見て、俺はつい、笑ってしまったのだ。


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