17.
「めそめそ、ロイスの正妻がなさけない」
言いながら、地面に崩れ落ちているアルナを私はただ眺めているだけになってしまったのだから、私は正直戸惑っていたけど、
何とか正気を保って言ったのである。
何故ならば、このままではまずいと思ったからなのだ。
だけど今の私には彼女を癒す事が出来なかったのだ。
「貴女では私を救えない、それに、今の私が憎いのでしょう? でもね、それは私も同じなのよ」
と言いながら鎌を構える彼女の言葉を聞いていると涙が溢れてきたのだ。
なんで、なんでこんな事をしているんだよって思いが込み上げてきて、それで私は何も出来なかったんだと思い込んでいたから余計に泣きたくなるのだ。
どうして?どうして?こんなに悲しい思いをしないといけないのかと思っていた時だった。
そんな私を見て、目の前にいる彼女は何も言わずに鎌を下ろすのだ。
そして静かに微笑みながら私にこう言ったのだ。
「もういいの、いいのよ、ロイス、辛いよね、苦しいですよね? でも、大丈夫です、今、私が助けますから、だから安心してくださいね。
そしてゆっくりと休んでくださいね」
そう言いながら、私は彼の身体を抱きしめた。
私にできる事はこれぐらいだから、そう思って彼を抱きしめる事によって彼の心が安らぐのであればそれでいいと思ったから……、
だから、そっと微笑んであげる。
「ロイス、貴方が魔王じゃない事は、私がよく知っているわ」
私は、そう伝えて、優しく微笑んだ。すると、私の気持ちが伝わったのか、彼も笑顔で答えてくれる。
そんな彼の表情を見て、安心したのだが、同時に罪悪感に苛まれるのである。
「ロイス、ごめんなさい、私がもっと貴方に寄り添ってあげればよかった」
エレミアがそう微笑めばエリーゼが
「さすがは高位神官ね」
感心した様に、エリーゼが言ったので、私は照れ隠しに
「褒めても何も出ませんよ?」
と言うと、彼女が私の頭を撫でながら言うのである。
「本当によく頑張ったわね、エレミア、貴方はすごい子よ、誇りなさい」
と言って褒めてくれるので、私は嬉しくて泣いてしまった。
そんな私を見た二人は慌てふためくが、そんな事はお構いなしに泣いていたら、二人に抱き寄せられてしまったので、
さらに泣く事になるのだが、それでも二人共私の事を受け入れてくれて嬉しかった。
そうすると、ロイスの瞳から涙が流れだす。
「二人ともありがとう、俺の事を信じてくれて」
そう言う彼に私は思わず抱きついてしまうのだが、そこにアンナが入って来て、彼の頭を軽く叩くのだ。
彼は涙目になりながらも、私の頭を撫でてくれるので、それがとても心地よかったので、ずっとこのままだったらいいのにと思ってしまう程に、安心できた。
すると、いつの間にか落ち着いたのだろうか、彼が、私の頭を抱きしめながらこう言ってくれたのだ。
「ありがとう、師匠、初めて出来として、尊敬したな、もう大丈夫だ、それよりも、これからどうするかだな」
そう言って、私達の事を見つめるので、私達はお互いに顔を見合わせて、頷いた。
ロイスは微笑むと
「もう、戦いは終わろう」
と言ったので、私達は頷く事にしたのだ。
私はロイスを連れて王国に戻ると国王にこう言った。
「無事に、ロイス並びにエリーゼの二名を元に戻しました、これで二人はもう、脅威ではないはずです」
陛下がその重たい唇を開いて行く。
「分かった」
一言だけだった。
「それでは失礼します」
そう言ってえエレミアはロイス達と出て行く。
「陛下がお野菜方で良かったわね、ロイス」
エレミアのそんな言葉に俺事、ロイスは
「うん、そうだね、御父様、いや、陛下が味方になってくれるなんて、正直、思わなかったよ」
そう言って、俺達は、謁見の間を後にした。
そこには、二人の人物が待っていた。
それは、俺達の仲間であり、大切な親友、アルナと、エリーゼだった。
「お疲れ様でした、アルナさん、エリーゼ」
俺は二人に挨拶をした。
そんな俺にアルナは、俺の肩を叩いて言ったのである。
「あんさんにしては、頑張ったじゃないの?でも、まだこれからだからね、これからも気を引き締めて行くわよ」
アルナは、そう言って、俺を励ましてくれている様なので、俺は頷いて返事をしたのだった。
そんな俺達を見ていたエリーゼが言うのである。
彼女は、笑顔を振りまいていた。
そして、彼女は俺とアルナの手を繋ぎながら言ったのである。
「それじゃあ、四人で仲良くやりましょうね!」
「はい!」
俺が元気良く返事をすると、アルナは照れた様な表情で答えたのである。
そして、彼女は言ったのだ。
「私もね、本当はロイス達の仲間に入れてもらいたかったのだけど、でも私みたいなおばさんじゃ、足手まといになっちゃうから、今回は諦めたのよ、
でも、今度から一緒に冒険できるから楽しみだわ」
そう話す彼女に、俺もまた嬉しくなってしまったのだ。
しかし、そこでアルナさんがこう言ったのである。
「あの、盛り上がっている所申し訳ないけど、私ってどうすればいいのかしら?」
そう聞いてきたアルナさんに、俺は笑顔で答えるのである。
何故なら、このパーティーには欠かせない存在なのだからだ!
だから、俺は彼女の事も大切にしようと心の中で思うのであった。
そんな俺達を見て、エリーゼさんは微笑みながら言ったのである。
「うふふ、楽しいわね、こうしてみんなで笑い合う事ができるなんて、私、幸せだわ」
その言葉に俺達は頷きながら言うのである。
「そうだね、俺も、こんな形で仲間にしたいだなんて、思ってもいなかったけど、でも、君が必要だと思うんだ」
俺がそう言うと彼女は少し照れ臭そうにしながらも嬉しそうに笑っていた。
そんな彼女を優しく見守りながら、彼女も嬉しそうな顔をしていた。
すると、そんな時、俺達の前に一人の男性が立ち塞がった!
一体誰だと思って見るとその男は、俺の事を睨み付けてこう言ったのだ!
その男の名前はラバン・ロザリエルと言うらしいのだが、その名前を聞いて、俺は驚いた!
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