14.
そして、大きな扉の前にたどり着くと、そこには一人の魔族が立っていたのだ。
どうやら、この者がここの主らしいのだが、どう見ても、普通の人に見えるし、別に魔王と言われてもピンと来ないのだが、
それでも、ここにいると言う事は、やはり、魔王なのだろうと思い、私は意を決して、中に入る事にしたのだ。
そして、気づいた、ロイスでは無い。
ロイスの傍にいるはずのエリーゼの姿もないからだ。
「貴方は魔王では無いわね」
「どういうことだ?」
重々しい重圧のある声と共に玉座に座る。
「私達を見ても動揺しないから」
すると高笑いが空中から聞こえた。
「これは、エリーゼ様」
「のろまおどきなさい、そこは魔王の席です、貴方如きが座っていい場所では無いわ」
「しかし、魔王陛下はお休みのハズ」
するとエリーゼの身体から漆黒の風が巻き起こり彼は今にも吹き飛ばされそうになる。
「ハイド、新魔王に負けた男よ、どきなさい、それともあなたの汚い血で玉座を汚したいの?」
そう冷たく言うと、彼は舌打ちをしながら、引き下がる。
それを見ると、彼女は私にこう問いかけて来た。
「お久しぶりね、エレミアにアルナ」
黒いドレスにしかも暗黒の翼が生えている、エリーゼを見てエレミアは何も言えなくなった。
彼女が人間だった時の美しいばかりの金髪は、黒ずんで漆黒色に染まっていて瞳は綺麗なアメジストのままだった。
まるで、人形の様に、感情が全くない冷たい瞳で、こちらを見ていた。
その横には、執事姿の、男が立っている。
それはロイスだった。
あれほど弱弱しかったのに、生気すら感じられない。
「ロイス、貴方本当にロイスなの?」
私がそう聞くと、ロイスはこう言ったのだ。
「俺は、もう何も信じない、この世界は俺の敵だらけなんだ、だから、魔王となり、俺が世界のルールになる」
その眼には、光が無く、ただ、絶望しているのが分かった。
私が、回復してあげなきゃ、そう思った時だった。
私の足元に、魔法陣が現れると、そこから、鎖が現れて私を拘束したのだ。
「何を」
「お前は俺の師だからね、特別なおもてなしをしないと」
そう言って笑うロイスの顔は狂気に満ちていた。
そして、私の周りに無数の闇の魔力弾が形成されると、一斉に襲いかかってきたのだ。
私はそれをまともに食らってしまい、地面に叩きつけられる。
身体中が悲鳴を上げ、骨も折れたのが分かる。
それでも私は立ち上がり、彼にこう言うのだった。
私が守らなくちゃ、いけないんだ!そう思い立ち上がる、でも、身体が言う事を聞かない、どうやら、さっき受けたダメージが大きく影響しているようだった。
「回復して欲しいの? だってさ、エリーゼ」
「はい、魔王様♡」
そう言うと私の身体の傷を癒し始める。
何がしたいのかわからない。
「傷は癒えましたわよ」
私が立ち上がろうとすると同時に、エリーゼは私の首を掴んでくる。
そして、そのまま、締め上げてきたのだ。
私は必死に抵抗するも、彼女の力が強くて、身動きが取れないのだ。
そのまま、私は宙づりになってしまう。
苦しい、このままでは、死んでしまう!
そう思った瞬間、私は、そのまま、投げ捨てられてしまう。
地面の上を転がりながら、私は、何とか態勢を立て直そうとしたのだが、そんな暇もなく、エリーゼの攻撃が始まったのだ。
それは、茨の鞭だった。
それが、容赦なく私に巻き付く、そして、締め付けてくるので、苦しくてたまらない!
しかも、それだけではない、闇のオーラを纏う、黒い薔薇を召喚して、それを私に向かって飛ばし始めたのだ!
何とか、避けようと努力するも、この攻撃のせいで、私は全く動けなかったのである。
次々と、飛ばされる薔薇の鋭い棘によって、服は破け、露出度が高い格好になってしまった。
それに、この攻撃を何度も受ければ、間違いなく命を落としかねないと思ったので、
「ちょっと」
私は、止めさせようと叫んだのだが、その前に彼はこう答えるのだ。
それも嬉しそうにだ。
まるで、新しい玩具を手に入れたかの様に、嬉しそうな表情で私にこう言って来たのだ。
「そろそろ、遊びは終わりにしよう、お前を殺す、そしたら、次は、あの女の番だ」
そう言うと、私を、思いっきり、殴りつけたのだ。
私は避ける事も出来ずそのまま、地面を転がる。
痛いだけど私は、立ち上がった、ここで倒れる訳にはいかないからだ。
私は立ち上がると彼を睨みつけた。
彼女は、今度は、私に馬乗りになって、何度も何度も、私の顔面を殴ってきた。
意識が朦朧とする。
私はまだ、負けていない。
「くっ!」
私は何とか身体を起こす、すると、目の前に、黒い大きな鎌を持った魔族が立っていた。
魔族はこう言ったのである。
「我が名は、ダークネス、お前の命を刈り取るものだ」
そう言って、黒い炎の様なものを私に向けて放ってきたのである。
私は急いで結界を張ると、彼の攻撃を受け止めたのである。
それは、とても強力な一撃で私では、到底、受け止めきれないほどのパワーだったのだ。
その時、いきなり、巨大な水の竜が現れ、魔族を襲ったのである。
すると、魔族はその水流に巻き込まれてしまったので、慌てて距離を取るのが見えた。
そこには、アルダンさんが立っていたのである。
どうやら、私達を助けるために駆けつけて来たらしい。
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