11.
「そもそもからして、ロイスあんたさ、何でそんなに弱いのよ、それに気も弱すぎだし、私達の方が恥ずかしいじゃない」
「そうよ、ロイスさん、あなたは仮にもこの国の筆頭貴族なんですからもっとしっかりしてくださいよね、あと、お、お風呂くらい一人で入れるようになりなさいな、もう!」
と、まあ、こんな風に責められたので思わず俺も、カチンときてしまう。
言い返してしまったのである。
俺は本当は、言い返したかったんだけど彼女達の目が怖くて、仕方なく黙ってしまうのだった。
そうは言っても、俺は追放された侯爵令息だぞ、何の権限もないんだぞ。
「お前達、何を言ってるんだよ、そんなのは、お前たちの仕事だろ」
そう言って、 反論する間もなく今度は、 エリーゼが
「ロイス、貴方、私が婚約破棄した事を未だに根に持っているのでしょう?」
そう、この女がグランドクエスト何て出さなければ、さらに言えば婚約破棄などしなければ、俺は運よく、王女の夫に成れたのだ。
それはまごう異なき、未来の国王である。
しかし、今の俺はただの平民に過ぎないのだ。
そんな俺に一体何が出来るというのだ?確かに俺には才能はあった。
だがそれを活かすだけの器量がなくて、何時しか落ちぶれ、遂には追放される事になったのである。
まあ、それでも、今まで育ててくれた家族には恩を仇で返すような真似はしたくない。
だからせめて、この借りだけは返さないと、俺はそう思って、王都にある冒険者ギルドへと向かったのである。
そして、登録を済ませると受付嬢が、早速仕事の依頼をしてきたのでその内容を聞いてみると依頼主はなんと、王であった。
内容は、この国が所持している聖剣エクスカリバーを取ってきて欲しいというものであった。
報酬はかなり高額なものだったが、代わりに、娘と行って来いと言われて唖然とする。
国王の娘はエリーゼ・シェヴェロウスキーつまりは、元婚約者である。
彼女こそが俺無茶ぶりを仕掛けた本人であり、国王である、父親が見かねて
「クエスト遂行は、エリーゼとロイスの二名による、バディーパーティーのみ許可する」
と言った事が原因だった。
それは、話題性抜群で、都市の中を騒がせた。
「何でエリーゼのお父上は、俺とエリーゼとのバディーパーティーのみって」
「そんなの、私の、お父様が決めた事だから」
エリーゼは、淡々と答えてきた。
(いや、それおかしいでしょ、いくら親子だからって)
そんな事を考えていると、エリーゼが急に、俺の手を強引に引っ張ってきた。
それも、結構、強めの力だった。
痛い程ではないもののいきなり、手を掴まれるとさすがに、ビックリしてしまうので止めてほしいと思った。
でもエリーゼの顔を見ると、彼女は何故か、嬉しそうに微笑んでいたので、何も言えなくなった。
まあ、とりあえず、彼女とクエストの場所に行くしかないよな、と思い一緒に歩くことにした。
「ところで、何故、俺を誘ったんだ?」
俺は、歩きながら彼女に聞くと、彼女は、こう言って来たのだ、しかも、かなりドキッとするようなことを……、
「貴方に、興味があるから、じゃ、ダメかしら、もしかして嫌だったりします?」
(いや全然、そんな事ないんだけどさ、何か引っかかるんだよな……何故だろう? うーん分からん、取り敢えず話をそらすか、そうだそうしようそうすれば、
モヤモヤしたものがなくなるかもしれないからな、よし、じゃあ話を変えてみるか、うん、そうしよ、そうしよう)
そう思ったので、彼女の言葉について、気になったことを聞いてみることにしたんだ。
「あのさ、エリーゼ役割を決めておかないか」
確かにバディーパーティーは二人しかいないんだし、この流れは自然のハズだ。
多分だけどな……。
「そんなの、私が後衛なのだから、アンタが精霊術師として、前衛するんじゃないの」
それは思ったとおりの回答であった。
「でも、俺は剣が使えるってだけで前衛じゃないぞ」
もちろん、俺の意見は却下された。
結局、戦闘中は、俺がエリーゼが唱えるまで耐えるって先方に成った。
まずは手始めにワークフィールドのゴブリンを倒す事になった。
「精霊術師に身体はらすなよぉ、エリーゼ」
と言うとエリーゼは、俺を鼻で笑ったんだ!
しかも、馬鹿にする様な口調で、言ってきたんだ。
「元婚約者なのだから、わたしをまもりなさい、ロイス」
なんて、傲慢なんだ、元婚約者じゃ無ければ殴ってそうだ。
それにしても、ゴブリンで、これだと本当に本番大丈夫だろうか?
「なぁ、お父様におねがいして、衛兵に来てもらえよ」
「無理よ、私は、この国の王女なの、そんなことしたら、国を追われるわよ、貴方こそ、私を頼らないで、私なんかよりも、凄い冒険者なんでしょ?」
(それは、そうだけどさ、この調子だと、この先不安でしかないな……)
そう思いながらも俺達は、冒険を続ける事にしたのだ。
そう、この時はまだ楽観的だったんだ。
これから起こる事など、全く想像もしていなかったのだから、
さてと次はどんな、モンスターが来るのかな?
楽しみである、俺は、ワクワクしていたのだ。
それは、エレミアのパーティーに居る時がどれだけ安全だったかを知らなかったからで、俺はこの時、まだ、あのパーティーがどれだけ優れていたのかを知る由も無かった。
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