8.
「陛下、ご相談があります」
「申してみよ」
「エリーゼを貴方の娘を俺のパーティーに入れてください」
俺は、思い切って、国王に言った。
「我が娘とは婚約破棄されているだろう? それでも、其方は連れて行きたいと?」
王は、訝しげにそう言った。
だから、俺は、はっきりと答えたのだ!
王を真っ直ぐに見つめながら、俺は、はっきり言ったのだ!
エリーゼを仲間にする理由をしっかりと告げたのだ!
まず、一つ目は、仲間が多い方が冒険が有利だからと言う事、二つ目は、俺には、守るべきものがあるからと言う事、
三つ目は、信頼関係を深める為と言う事だった。
四つ目に、彼女を絶対に幸せにすると言う事を告げたのだ!
勿論、嘘ではない、本心だ!
ただ、ちょっとカッコつけたかっただけだ!
だって、そうだろう?
これから、命をかけて、世界を救う為に戦うんだから、これくらいのアピールは必要だろ?
彼女に、ここまで言えば流石に惚れるに違いないと思っていたのだが……。
それが、間違いだったと、後で気付く事になるのだが……この時の俺はまだ知らないのだった……。
俺は、そのまま、王様に連れられて、玉座の間へと向かったのだ!
待っていたのは、王様だけではなく、この国の王妃や大臣達もいたのだ!
その中には、俺との仲を応援してくれていた。
幼馴染みもいた。
俺は、その顔を見て、罪悪感を覚えた。
俺が、一方的に、別れを告げてしまった為、彼女の気持ちを傷つけたのだから、
エリーゼと別れた理由は、俺が、余りにも弱すぎた為、彼女が、俺の事を見限ってしまった事にある。
だから、俺も、彼女の事を悪く言う事は出来ないのだ。
「久しぶりね、貴方の顔を見るのも不愉快だから、さっさと何処かへ行って欲しいのだけれど?」
そう言ってくる彼女は、相変わらず美しく、凛々しい顔をしていた。
「あの、あの時はすまなかったと思っているんだ、俺が、あまりにも弱くて、それで、君に愛想を尽かされて……」
俺がそう言うと、彼女は呆れたように、ため息をつくのだった。
彼女は言ったのだ。
「あのねぇ、貴方がどれだけ努力したって、私には勝てないのよ、それを貴方は理解しているのかしら?私がわざわざ、貴方のレベルに合わせてあげているのに、それに、貴方は未だに剣技も体術もまともに使えないでしょう? それなのに私に勝てると思うなんておこがましいと思わないのかしら?」
そう言って、俺を蔑む様な目で見てくるのだった。確かに彼女の言う通りだった。
俺には、彼女を倒すだけの力がない、それは事実なのだ。
だからと言って、諦める訳には行かないのだ!
俺達には、時間がないのだから、このまま何もせずに居れば、俺達はこの世界から消されてしまうかもしれないのだから、
俺達は、今こうして王都に来ているのだ。
俺達だけでは、やはり戦力不足なのだった。
だからこそ、エリーゼ達の助けが必要なのだ!
だが、そんな事情を知らないエリーゼ達は、俺達を嘲笑うようにこう言うのだった。
「何故、私達が貴方に力を貸さないといけないのかしら?」
そう俺に聞いてきたのだ!
当然の事ではあるが、俺は反論したのだった。
「どうしてだよ、今は人手が足りないから、お前らの力が必要なんだよ!」
そう言うと、彼女は冷たく言い放ったのだった。
「そもそも、私達は、貴方達と違って忙しいの、分かるかしら? そんな暇はないのよ、分かったらとっとと出て行きなさい」
そう言うと、彼女は冷たい目をして、俺を睨み付けてきたのだった!
しかし、ここで怯んではいけないと思い、俺は、彼女に言い返したのだった!
「俺だって、忙しいんだよ! お前みたいな、ちんちくりんなんかに構っている時間は無いんだよ!いいか?俺は、一人でも戦えるんだからな!
お前こそ、早く帰ってママにでも甘えてろよ」
俺はそう言った!
すると、エリーゼの顔がみるみる内に赤くなって行くと、大きな声で怒鳴ったのだ!
「ふ、ふざけるんじゃないわよ!誰が、いつ、あんたのパーティーに入ったと言うんですか!冗談は、顔だけにしてちょうだい!それと、私の名前を呼ぶんじゃない!気安く呼ばないで頂戴!」
そう言うと、今度は、アルナも怒鳴り出した!
「聞いて置けば、このアマ、元婚約者だからって誰が貴方みたいな女の為に動くものですか、私達を馬鹿にするのもいい加減にしなさいよね」
そう言って、エリーゼを威嚇していたのだ。
すると、アルナは更に続けて言うのだった。
「大体、私達が、あんたに従う義理なんてないんだからね、そんなに言うなら私達を従えさせてご覧なさいよ、まあ、無理だと思うけどね」
そう言って、彼女達は俺の前から立ち去って行ったのだ!
彼女はどうやら本気らしいく、本当に着いて来てくれないようだった!
どうしてこうなったのか?
どうして彼女が協力してくれないのか分からないまま俺たちは旅を続けたのだが……?
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