6.

「当然やわ、あんさんは今はもう、立派なエルドレアの主やもん」


そう言って嬉しそうに笑っていた。

それにつられて俺も笑った。

そして、俺達はグラクエに向けて出発するのだった。

俺達はグラクエの森を目指して歩いていた。

グラクエの森はとても広く深い森なので、一日ではたどり着けないので、俺達は、途中の町で一泊する事にしたのだ。

グラクエの森に行くには、先ずは北の方角にある町【トナーロ】に行かなければならないので、俺達はそこに向かっていたのだ。

そんな時だった、一人の少年が俺達の前に現れたのだ。


彼は、こう言った。


「お兄ちゃん達、あの森に行くの?」


その言葉に、俺達は顔を見合わせる。

そこで俺は、こう答える。

どうやらこの少年は、これから俺達が向かう、あの、グラクエの森から来たらしいのだが、 どうやら、あそこは危険な場所だから、

近づかない方が良いと言われたのだ。


「お兄ちゃんが何でアソコに行きたいかは僕は知らない、夜に来てはダメだよ、ワルーイヴァンパイアの王様は、争いを好まないからね。あはははは」


そう言うと歩いて村から出て行った。

俺達も、彼に言われた事を肝に銘じながら、俺達は、その、グラクエの森を目指した。

その、道中の事だった。

アルナが、唐突にこんな事を言い出したのだ。


「夜に来るなって、まるで、ヴァンパイアキングに会わせたく無いみたいやったな? 

そうは思いませんか、あんさん?」


その言葉に、俺は頷きながらも、ある疑問を感じたのだ。

確かに、夜に近づくなと言った事に対しては同意なのだが、どうしてそんな事を言ったのかだ?

いや、そんな事よりも、もっとおかしい事があるじゃないか!

なんで、俺達と同じタイミングで、同じ方向に向かうんだ!?

そんな偶然があるのか?


まぁ、いいか! きっと、ただの偶然なのだろう。

そう思って歩いていると、急に目の前が真っ暗になったのだ!

いきなりだったから、びっくりして戸惑い立ち止まるといつの間にか森の中に入っていた。


「何これ」


エレミアが慌てて辺りを明るく照らす神聖魔法を使ってくれる。


「周囲を照らし給え、ライト」


「助かった、ありがとう、エレミア」


そう言うと彼女は俺に微笑む、クラチェン(クラスチェンジの略)したてで、回復魔法科使えないと思って居たら、神聖魔法も使えるらしい。


「エレミア、何で回復術師なんだよ、聖剣術師の方が良いんじゃないか?その方が強そうじゃん!」


そう聞くと、彼女は首を横に振り言うのだ!


「いえ、私は神官としての修行をして来ました、ですから、聖騎士になれません」


そう言って悲しそうに俯く、そんな彼女を見ているとなんだかこっちまで悲しくなってくる。

だって、彼女、可愛いし、美人だし、それに、胸大きいし、良い匂いするしな!

そんな俺の邪念を感じ取ったのか、少し怒った様子で、俺に言ってくる!


「私、おっちょこちょいだけど、頑張るね!」


そう言って可愛らしくウィンクしてくる!


「いや、可愛くないから、あと、お前、どう見ても、年齢、俺と変わらないだろ!」


俺はそう言った。

いや、本当は、可愛すぎて、ドキドキしたんだけど、それを、悟られない為に、つい、きつい言葉を言ってしまう。

いやこれも、本当の事だ。


「エレミア、お前は、もう少ししっかりしろ」


そう言うとエレミアは涙目になる、やばい、言い過ぎたかな?

俺はそう思ったけど、でも、やっぱり、こいつは、俺の仲間としてはまだまだだなと思うのだった。

それに、こいつ、俺がまだ、仮契約の状態だと忘れてないか? そう思いつつも俺は歩くのだった。

すると、また、あの少年が現れたのだ。

今度は、大人を連れている?

どういう事だろう?

そう思っていると、その少年は、こう言ってきたのだった。


「お兄ちゃん達、ここで死んで」


その少年はそれだけ言うとどこかに消えて行ったのだった。

すると今度は、空から黒いフードを被った奴が降りてきた。

その男がこう言うのだった。


すると男は俺達に襲いかかってきたのだ!

しかし、それは、ほんの一瞬の出来事だった。

男の持っていた武器が一瞬にして消えてしまったのだった!

それは、一瞬で、エレミアによって、消されてしまったからだ!

その一瞬の間に、俺達は、男と距離を取ったのだった!


「俺はヴァンパイアキング、この森から出て行け」

そう言ってくる、その男は、かなり若い、子供だった。

奴から溢れる殺気を感じ取り、油断してはならない相手だと言う事を理解していたのだった。

俺は、そいつにこう言った。

何故、俺達を襲うのだと?

すると、そいつはこう言ったのだった。


「僕の名は、ラズエル、君達を殺す者の名前だよ、ヴァンパイアキングなり」


「そうか、ならばこちらも名乗っておこう、俺は、ロイス・バルドアだ、貴様を倒す者の名だ」


そう言うと俺達は戦闘態勢に入ったのだった!

すると奴は言うのだった。


「僕と戦おうってのかい?いいよ、かかってきなよ、僕に勝てたら、ここから出て行ってあげるよ」


そう言う奴の目は狂気に満ちていた。

俺はそれを受けて戦う事を決めたのだった!

後ろから仲間達もやってくる。

俺達は一斉に攻撃を仕掛ける!

それは全て弾かれてしまう、それもそうだろう、相手は魔王の配下にして、四天王が1人のヴァンパイアキングなのだから……。

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