5.

しかし、そこに来たエリーゼが魔法で追い払ってくれた。


「本当に、馬鹿じゃ無いの、魔法も使えない、弱虫なくせに」


エリーゼが、俺を罵ってくる。

俺は、それを聞いて悲しくなってしまうのだが、それでも、俺は反論する。

確かに、俺は、今は魔法を使えない。


それて、成人を迎えた式典で、俺は、エリーゼに婚約破棄されたのだ。

悔しかった俺は、そこで、当時、王女付きであった、エレミア・クリアナに助けてもらった。

その後、冒険者登録したのだが、その時に、俺は、自分が、精霊魔法師だった事をしる。

その時、エレミアに、こう言われたのだ!


「精霊魔導師なら、納得、魔力が使えないのよ、精霊と契約して、魔法を使うようになるの」


それは平たく言えば、精霊の魔力を借りるんだとか……。

俺はそこまでの回想を終えるとふとエリーゼがこう言った。


「私のグラクエは……聞いているの? 弱虫ロイス」


そう言われて俺は、やっと我に帰るのだった。

ああ、そうだ、これからグラクエなんだった!

俺達は、謁見の間まで案内される事になったのだが、俺はそこで、ある事に気が付く。

そう、それは、何故か、アルナが俺の手を握って離さない事だ!

いや、それよりも問題なのは、彼女が俺の腕をしっかりと抱き締めているのだ!

それも嬉しそうに!!

すると、それを見たエリーゼがこう言うのだ!


「あら、弱虫ロイス、アンタ本当に、これからグラクエだと言うのに、なんておぞましいの」


それは自分が婚約破棄しておいて、何の魅力も無い、ロイスが女の子を連れて来た事だろう。

それが、エレミアや、アルナ、他の女の子達を見ても、決して、ロイスの正妻を譲らないと豪語するのだ。


「婚約破棄解消?」


「馬鹿ロイス、あんたが女の子を連れて来るから」


そんな、理不尽な事を言っている。

エリーゼに対して、俺は反論するが、彼女は更に怒ってしまうのだ!


「なら、俺がグラクエちゃんとこなせれば、お前は俺を信用して、婚約破棄を謝るんだな」


「謝るわよ、それと、私もアンタのパーティーに入ってあげるわ」


その言葉に、俺は少し、嬉しくなる。

あの高飛車な王女様が、俺のパーティに入ろうとするなんて、一体、どんな心境の変化なのか、全くわからないが、

それでも俺達の冒険には、強力な戦力になるのは間違いない!

そんな、俺達のやり取りを見ていた。

エリーゼが、こう、言ってくるのだ!


「私のグラクエは、英雄の王、エルフィの墓に住み着いた、ドラキュラキングを討伐する事よ」


ドラキュラキングって、魔王の配下四天王の一人だぞ。

しかも、エルフィの墓はたしか、英雄王の森にある。


「そうそう、ドラキュラは夜にしか起きないから、夜に行ってね」


エリーゼの言葉に、俺と、アルナは頷く。

こうして、俺達は、次の日の朝に出発となったのだった。


「ねぇ、良かったの? 下手したら、死ねるかもよ」


「あ、その前にしておきたい事があるんだけど、エレミア、アルナ、俺の精霊と本契約したいんで、その、精霊戦させてください」


俺がそういうと、二人は快く頷いてくれるので俺は早速始める事にしたのだった。


「炎に宿りし、サラマンダーの神よ、我が名は、ロイス・バルドア、我が契約に答えて、姿を現し給え、エルドレア召喚」


炎の綺麗な魔法陣が現れて一匹いいや、神々しい綺麗な赤い炎を纏った、金色の狐が現れる。


「これが、サラマンタ―の神エルドレア? はぁー初めて見たなぁ」


その言葉に俺は苦笑する。

「本当に精霊術師しやったんやな」


っと言われて俺はアルナに頷いた。


「久しぶりじゃな、人の子よ、何か用かえ?」


「そのさ、ずっと保留になっていた、本契約を結びたいんだけど」


その言葉にエルドレアの笑みがスッと消えた。

そしてこう言うのだ! どうやら、怒っている様だ。


「人の子の身分を知れ、童は神であるぞ」


そう、言われてしまうのだが、俺は、それに反論する為に言うのだ!

だって、俺は、契約しに来たのだから……。


「人の子だからって、アンタに勝てないと誰が決めた? 精霊戦を申し込む、俺に倒され、契約しろ、エルドレア」


俺はそう言って、構えた!

エルドレアもそれを見て、戦闘態勢を取る!


「くらえ、木漏れ火」


その言葉と共に仮契約で見せた時とは違う、本気の威力の炎の火の粉が俺達に襲い掛かった。

俺は咄嗟に後ろに下がって避けたが、他の仲間も避ける事が出来たみたいだ!

流石、ハイエルフとドワーフであると感心するばかりだ!


俺はそう思うとすぐに詠唱を始める!

それと同時に、仲間達にも指示を送る!


「各自散開して攻撃を!」


「了解!」


そう言うと、全員四方へバラバラになって攻撃を開始した!

しかし、俺はと言うと、その場から一歩も動けずにいた!

何故なら、エルドレアの攻撃は激しかったからだ!

流石はサラマンダーの神である、その力強さと言ったら無い!

だから、俺も、必死に逃げていた!

それを見ていた仲間達も苦戦している様子だった!

いや、それはそうだろう、相手は精霊の中でも上位の存在なのだから、そう簡単に勝てるはずが無いだろう!


「なぁ、エルドレア、少し加減をしてくれよ」


「使役したいのなら、戦え、ロイス」


吠えられて気づいた。

俺は、本当に無力である。


「あんさん水や、水の魔法や」


そう言われると、直ぐに水属性の魔法を発動するが、全く効かない!?

どういう事だ? 水の魔法を使える奴がいないんだよ!

すると、俺の横で誰かが倒れた様な気がした。

見るとそこには、血だらけのアルナが立っていた。

俺の仲間の、エレミアもアルナを抱えて、何かを叫んでいるようだった!

それは、アルナの名前だった!!

俺は、それを聞いて急いで駆け寄る!

すると、アルナは、弱々しく言ったのだった!


「あんさん、仮契約の、オアシスをぶつけて、勝って、エルドレアと本契約を」


そう言うと、アルナは気絶したのでした。

俺は、アルナの言葉通りに、エルドレアに再び、攻撃を仕掛ける、今度は、威力を抑えて、ただ、ぶつけるだけ、それでも、砂埃が舞い上がり、

何も見えなくなる!

しかし、それは、一瞬だった。

オアシスが現れてエルドレアに大量の水が降り注ぐ、その水を防ごうとするエルドレアだったが、それは叶わなかったのだ!

何故なら、その水の正体はただの水では無いからだ!!

それは、砂漠の水だったのだ!

エルドレアはその、勢いに飲み込まれ、倒れてしまう!

そこにすかさず、仲間達の攻撃が入った!


「今よ、ロイス」


俺がオアシスの水魔法をもう一度エルドレアの頭上からかければエルドレアは観念した様にしゃがみ込んだ。


「我、エルドレアは汝と本契約を結び未来永劫其方の力と成ろう」


そう言われて俺が戸惑ていると


「手をかざしてあげて、良かったわね、ロイス」


エレミアにそう言われて俺は片手を差し出す。

するとサラマンダー神エルドレアの手が伸びて来て俺の手に触れるとそのまま身体の中に流れ込んできた。


「これが本契約? なんか、仮の契約とは違う気がする」


そこまで言うと、アルナが微笑んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る