4.

使役で来ているから、勝手に所持精霊だと思っていたのだ。


「使役するには精霊戦で実力認めさせないと何だっけ?」


「精霊術師なのに、契約の仕方も知らなくて、武器買いたかったの? それでよく、仮契約した精霊に殺され無かったね」


俺は、目の前を歩く少女を見る、身長が低く、黒いローブを羽織り、杖を持っている姿はどう見ても魔法使いだ。

それに、こんな可愛い子だったら、守ってあげたくなるじゃないか!

俺は、そう思って彼女を見ていると、急に振り返った彼女がこう言ってきた!


「君、今、私を見ていたでしょう? いやらしい目つきでね! どうせ、私の事をエロい目で見ていたんでしょう?」


そう言って、俺を睨みつけてくるのだが、そんな目で睨まれても全然怖くない!

俺は、そう思いながら彼女に聞く。


「えっと、君は誰?」


そう俺が聞くと、彼女は、一瞬固まった後にこう言ってきた。


「本当に失礼ですね! 私を、誰だと思っているんですか?」


そう聞かれてしまったので俺はこう答えるしかなかったのだ!


「いや、知らないよ、初対面だよね?」


「はぁ? 私を何で忘れるのよ」


「いや、だって、俺達、今日、会ったばかりじゃんか!」


俺は思わず叫んでしまった!

だってさ、俺達、ついさっき出会ったばかりで名前すら名乗っていないのにいきなり正妻呼ばわりされたら驚くよな?

そんな俺を見てアルナは呆れ顔でこう言ったのだ!


「あんさん、まさか、忘れてしもうたんか? アルナの事、助けてくれたやんか」


その言葉に俺は思い出す!

そうだ、この子を助けた事があったっけ?

だけど、あの時、エレミアはいなかった筈だよな?


「お前、もしかして、あの時のドワーフ族の娘だったのか? いや、あの時は助かったよ、ありがとうな」


俺は、笑顔でそう言うと彼女は、顔を真っ赤にしてしまう!

あ、やばい、怒らせたか?

すると彼女はこう言うのだ。


「べ、別に、助けたくて、助けて上げた訳じゃないんだから!勘違いしないでよね!

ただ、あんさんが、危なっかしくて見ていられなかっただけなんだからね!」


そう言うと彼女は、俺の背中をバシッと叩く!

俺は、あまりの痛さに顔をしかめてしまう、それを見て、更に彼女は、笑うのだった。

すると、彼女は、俺の顔を覗き込んでくるのだ!

こう言って来るのだ!


「あんさん、私と結婚してくれると言ったんじゃないの」


その声はギルドのカウンターにまで聞こえる程の大きな声で俺は慌てて、そんな、メロンの様なアルナの胸を慌てて鷲頭紙にしてしまった。


「ひ、ひゃぁぁぁぁぁぁ、な、なにするんよぉぉぉ、このエロガキィィィィィィ!!!」


アルナは、真っ赤になって、俺に詰め寄ってきて、その胸を押し付ける様によりかかって来たので俺は思わず、その柔らかな感触に顔を赤らめていると、

今度は、俺の首を後ろから締め上げてくる者がいた。

エレミアだった。

耳元でこう囁くのだ!


「随分と楽しそうね、ロイス♡」


その言葉に、ぞっとして慌てて起き上がると


「でも、とっても、残念ねぇ、ら、元婚約者がグランドクエスト依頼したいって」


その言葉に俺は素っ頓狂な声を上げる。


「グラクエ? むりむり、俺はSSS級冒険者じゃねぇぞ」


「貴方にしか頼めないと言うのよ、ほら、観念なさい、久々に元婚約者と謁見するチャンスでしょうに、見違えた姿を見せてあげなさいな」


その言葉にぞっとしていた俺は、行き来たくないと泣き叫ぶ。

だってそうだろう? どんな小言が飛び足すのかなんて、想像しただけでも嫌だからだ。

「行かないとダメ?」


「パーティーリーダーの命令です」


「師匠の鬼」


「その師を普段呼び捨てで呼んでいるでしょ?」


そんな事を言われながら、俺は、馬車に乗せられるのだった。

王都に向かうのだった!


「で、エリーゼのグラクエって何だよ」


「そうですわ、エリーゼ様って、確か、あんさんの元婚約者でしょ、年増の女なんかに、私負けませんわよ」


「あ、あ、なんで、お前が居るんだ? アルナ」


その声にさすがのエレミアも気が付いた様で、慌てて馬車を城から来た御者に言って止めさせた。

そして、俺達も降りる事にした。


「あんさんの行くところには正妻の私が行かないと始まらないわ」


何という執念か、俺はその言葉に呆れるしか無かったのだが、それを聞いていた。

エレミアが言うのだ。


「私は、貴女をパーティーに入れたつもりは」


「ああ、怖いですわ、あんさん、エレミアはんが睨みやす」


俺は、溜め息を吐く、そして、こう、言うのだ。


「わかったよ、エレミア、連れてってあげちゃダメ? ほら、ドワーフだし、アルナは可愛いし」


「わかりました、ロイスがつれていきたいのなら、これ以上言いません」


エレミアはそう言ってくれるのだが、何か、納得していない感じで、それでも、俺に頷いてくれてとても、

嬉しくてついつい、エレミアの手を取ると、


「ありがとう、我が師エレミア、嬉しいよ」


「こう言う時だけ、弟子面しなくてよろしい」


そう、口では厳しく言ってはいるが、それでも、弟子思いの、良いハイエルフの女性だ!

俺達は、城に辿り着くと、応接室に案内される。

そこには、すでに、エリーゼ・シェヴェロウスキーがいた。

その姿は、俺が知っている姿よりも更に美しくなっていた!

そんな、彼女に見惚れていたのだが、彼女は、俺の事を見ると、こう言ってくるのだ!


「あら、弱虫で情けない、ロイス・バルドアではありませんか、お元気? 元・婚約者様」

ああ、この上から目線の言葉、間違いない。

美しくなったと褒めたのに、やはり、自分は婚約者であった彼女にすら嫌われている。


「姫様、そろそろ本題を放しませんか、いびる為に、ロイスをお呼びに成られたのではないですよね」


その言葉を張ったのは、エレミア・クリアナだった。


「あら、ハイエルフ、貴女生きていたの? さぞその子は、使い物にならない事でしょう」


その言葉に、エレミアの顔が歪む、気高いハイエルフは何より、侮辱を嫌うのだ。


「あら、そちらは何方? 初めて見る顔ね」


そう、エリーゼが立った今、呟くように言った。

そう、今、俺の横にいるのは、新しく仲間になったアルナだ!

彼女は、俺を見てウインクして来るので俺も思わず微笑んでしまう!

そんな、俺とアルナを見て、明らかに嫌そうな顔をするエリーゼ、それを見て俺は思うのだった!

ああ、この顔を久しぶりに見たな。


昔は、良くこんな顔をしていたっけ、懐かしいな、俺はそう思うと、昔の事を思い出すのだった。

それは、10年以上前の出来事だった。

俺は、当時、王都から少し離れた森の近くに住んでいたのだった。

その家は、王都から離れた場所だったが、エリーゼ・シェヴェロウスキーの婚約者として生まれた時から親同士が取り決めたせいで、俺は何をしても、エリーゼの顔を不機嫌にしていた。


10歳のころだっただろうか、俺は、その日、一人で森の中に入ったのだ。

俺は、昔から冒険譚が好きで、いつか、自分もその主人公の様に成りたいと夢見ていたのだった。

しかし、その日の森の雰囲気がいつもと違っていたのだ。

俺は不思議に思いながらも奥に進んで行くと、そこは、魔物の巣窟になっていたのだ!

俺は、慌てて逃げようと思ったのだが、もう遅かった。

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