第23話〜超常と幻影④
…………。
「さて」
あと一人、そう呟いてから気付く。
気付いた瞬間には横に跳んでいた。
直前まで首があった空間を掠めるようにして、メスみたいな形状のナイフが2本飛んで行く。
しかも跳んだ先にも先読みされたみたいに今度は3本、首と目を狙う位置に飛んできてる。
なんとなく嫌な予感がして、手持ちのナイフで横じゃなくて地面に向かって弾く。
「…っ」
その後ろから一回り細くて鋭いナイフが飛んできてる。
今度はナイフを振り下ろした姿勢からだから上に弾く。
視覚じゃなくて空間で物体を感じてるから距離感を間違えずに弾けたけれど、こんな夜中にサイズ違いのナイフとか芸が細かくて嫌になるね。
しかもそれに、¨毒液に浸した極細の糸¨が繋がってるなんて。
下手に避け続けたり地面とかに弾いて固定していったら、蜘蛛の巣みたいな罠が至る所にできるところだった。
着地と同時にナイフが飛んできた方とは逆を向く。
今ので仕留めるつもりだったのか、それ以上の追撃はなかった。
上に弾いたナイフが落ちて来たから、繋がる糸を切っておく。
「へぇ、よくこちらの位置が分かったね」
振り向いた先、ほんの10メートルの位置の全身をローブで覆い隠した小柄な人物が立っていた。
顔までフードを目深に被っていて、見えるのは指先と口元くらい。
まぁ空間魔法とクレヤボヤンス、透視能力で素顔から隠し武器まで全部見えてるんだけどね。
魔法の武器とか魔法が付与された物だと見えなかったり見えずらい。
この子も至る所に仕込んでるみたいだね。
少しハスキーで男の子みたいな発声だけど、女の子だ。
うん、スレンダーボディ。
15、6歳くらいかな?
「いやー、君すごいね。他の連中ならともかく、リーダーはかなりの実力だったはずだけど。まるで見た目が逆転したみたいで笑っちゃったよ」
そう言ってケタケタ笑ってるけど、隙らしい隙は見せないね。
それはつまり私と男の人との戦闘をしっかり観察してたってこと。
ほとんど手の内は見せてないけど、さっきの技で分かった。
たぶん技術だけならさっきの男の人よりも数段上だ。
「ほんと強すぎだよ君!もしかしてハーフエルフ?それかハーフリングとか?どちらにせよあり得ないくらい強いよね。うちこない?最近の若手じゃ弱っちくてつまらないんだよ」
さて、どうするかな。
さっき全体を見て、この子の実力はNo.2だと思ってた。
けど、こと暗殺者としての実力なら1番かも。
つまり実力を見誤った。
これは、油断できないかもね。
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