第11話「その男、学生を助ける 上」
彼らが救助をしに来る前の数時間前――――
「くそっ!強すぎる」
「アシックスさんどうするんですか?このダンジョン一度は言ったら他の出入口見つけないと戻れないっすよ?!」
「落ち着け、後輩。あの子の件で我々のチームが味方にならないと」
男子陣がそう話をしている。
「アレリア」
「何?カイ」
カイと言われている男に話しかけられた気品のある女子のアレリアは反応をする。
「今の時間帯、ミュレッタはお前の実家に保護して貰っているよな?」
「えぇ、多分あと少し時間が経てば彼女の親が迎えに来る手筈よ」
男女計六人はミュレッタ・アブルスの味方である。
彼らはミュレッタの兄の件で被害に遭っていた貴族からの嫌がらせや虐めをする貴族を否定し、それぞれの家訓を元に自ら行動をした。
「こっから全員出れば・・・おもっきし叱られようぜ」
「・・・だな」
「そうね」
彼らは諦めず出口を探し続けた。
「・・・やっぱりよ、ボスに挑まないとこの階層出られないんじゃねーか?」
「言われてみればそうだな」
「全くもって同感だな」
探す事、数分――――
「ボス部屋だ・・・」
「気ぃ引き締めていこうぜ」
「お互いに背中を預けようぜ」
「えぇ」
「皆さんの背中、お借りします!」
「・・・行きましょう」
6人はそのボス部屋に入り、挑む事になった。
「ブルルルゥオォンッ!!!」
「プレスミノタウルスだ!ヤツは突進が主な攻撃手段になるが威力は段違いだから気を付けろ!!」
「盾の守りの俺に任せろ!」
「【
戦闘態勢に入り、武器を持って挑み始めた。
「ブルルウォーンッ!」
「遠距離ぃッ!」
「任せなさいっ!」
魔導士の女子はそう言って詠唱を始めて魔法を発動する。
「『空の魔力と土の精と火の精よ、眼前の畏怖なる王を圧し滅せよ』――――【
「【
「任せろ!ウォォォオオオッ!!!!」
支援魔法とスキルで強化されたアシックスは剣を構えてそのまま勢いよく走る。
「喰らえぇぇぇぇぇぇッ!」
「ブモォォォォッ!!!!」
ダンジョンの階層に位置するボス部屋、そのボス部屋のボスは一度の戦闘で知恵を得ていたりする。
「くっ・・・あともうちょいか」
「刃の無い方でカウンターをキメるとは・・・中々手強いな」
「私の張っているシールドがもう少しで切れるわ!今の内に体制を整えて!」
そう、彼らが挑んだそのボスは知恵が廻っている。
一度攻撃を負い、払って次の攻撃のタイミングで持ち方を変えてカウンターをキメたのだ。
「知恵のある魔物の影響はその階層のボスにあるって文献に書いてあった気がする・・・どうする?」
「やるしかねえだろ」
彼らが臨時体制を整えている間にもそのボスは何度も攻撃を繰り返す。
「ブルルルォオッ!!!!」
「・・・イチかバチかだ!」
全員が頷き、バリアを解除する。そのタイミングでそのボスは手持ちの斧を大きく振りかぶり―――
「君達の覚悟、確かに見届けた」
「「「「「「!?」」」」」」
彼らが覚悟を持って反撃をするタイミングに先駆けてパァン!と弾丸が放たれ響く音がした。
その瞬間、目の前のボスは膝を抱えて倒れこむ。
「今だ!一撃をヤツの心臓に!」
「・・・!」
男は剣を持ち直し――――
「ハァァァァァッ!!!」
「ブモォォォォッ!!!!」
その一瞬の相手の怯みがチャンスとなり、剣を持った学生はその大物を打ち取った。
「―――こンの大馬鹿者!人様に迷惑を掛けおって!!!」
「・・・・」
「まぁまぁ、公爵様。今回は勇者様からも叱責と励ましの言葉を彼らに与えたのでその辺で」
「しかしですな・・・」
無事に彼らを連れ戻したことでギルド内は落ち着きを取り戻した。
「仕方ない・・・今回ばかりはこちらのお方に感謝をしておきなさい。ジーク殿、我が子息とその面々を助けていただきありがとうございます」
「いえ、お陰で経験値も十分溜まったし。何なら今から新しい職に入る所ですし。彼らが無事なら問題無い――――いや、一つ問題があったな」
学生らを助けた理由の一つとしてその場にいた彼らの保護者らと使用人達に事のあらましを説明した。
「―――と言う事で。皆さんの中には信頼の置ける商人が被害を受けていた事とかありますか?」
「あります!まさか、富豪の商家の出の若造一人の欲望で多くの商人たちに被害を起こす程の非道な行為をしていたとは・・・」
俺は咳払いをし
「その所為でその真犯人の妹さんとその保護者の大公閣下に対して非常識な振る舞いをする情けない者が出て来ていると知り合いから聞きました。上流貴族である皆さんの貴族としてのやり方でその者達を叱責し、立場を逆に危うくしてしまう事を認識させて貰えないでしょうか?」
俺がそう言う、一人の貴族が納得し
「我々がそれぞれの商家に顔を出して我々の正しいやり方でやっておけばその者達は冷静になり逆に被害を受けている女の子を助けれると・・・」
「ふむ、息子達を助けて貰った恩として私達が全力で解決させましょう!」
お互いに納得し、握手を交わして後にした。
「どーも、転職を希望したいんですが」
「分かりました。よろしくお願いしますね」
次の日に俺はミューを連れて転職の間に入った。
今の俺の職とスキル構成だが――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ステータス一覧]
名前:ジーク/進藤 充
性別:男
職業:罠師(45/45)
所持スキル:罠召喚(5/5)
鉄壁罠(5/5)
罠解除(1/1)
NEW:奇術師(1/55)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
数分後―――――転職が終わった。
「お疲れ様です。この後ダンジョンに?」
「えぇ、先に会う人が居るんでその人に会った後ですが」
転職を終えた後はこのような感じになった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ステータス一覧]
名前:ジーク/進藤 充
性別:男
職業:奇術師(01/55)
所持スキル:ブービートラップ(0/5)
トランプマジック(1/10)
罠安全解除(0/1)
不可視の蜘蛛糸(0/20)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
前の職に比べて結構、苦労はしそうなスキル内容だった。
さて、行くか
「おっ、丁度良かった!坊ちゃん!」
「貴方はあの方の―――」
門の前に立っていた男は俺を待って居たらしい。
シュムベルと言い、男爵商家と名乗った。
「あの人とは商品を巡って色々と勝負をした仲でな。俺が代わりに坊ちゃんに伝言を頼まれたんだ」
「・・・もしや、昨日のアレは把握しているので?」
俺がそう聞くと、シュムベルは頷く。
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