花を折る

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 私は顔にまかれた包帯にふれる。


 なんて忌々しい。


 あんなことがなければ、私はこの学校で一番の美人だったのに。





 家が燃える火事があった。


 原因はだれかが家の庭に投げ入れたたばこの火。


 住人は避難して、命にかかわるけがはしていない。


 けれど、私はやけどを負ってしまった。


 医者には跡が残るだろうと言われた。


 顔に火傷の跡が残るなんて。


 ショックだった。





 だから、その日から私は美しいものを憎むようになった。


 以前の私は学校で一番の美人として、もてはやされていたのに。


 今では腫物を触るような扱い。


 美しいものなんてこの世から消えてしまえばいいのに。


「花壇の花が折れていたみたい」


「ひどいわ、いったい誰がそんなことを」


 でもだからといって、実際にこの世から消し去るなんてできない。


 私は神様じゃないんだから。


「お世話していた園芸委員が嘆いていたわ」


「はやく犯人が見つかるといいわね」


 だから、ちまちまこの手で消していくしかないのが面倒くさいわ。


「また植えた花も、折られたりしないといいけど」


「そうね、心配だわ」


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花を折る 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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