目を覚ませば紫の空、赤黒い砂漠、そして……空を飛ぶ炎を吐くトカゲ。あまりにも唐突な異世界転生に、困惑する暇すら与えられない展開が続いていきます。
次々と現れる理不尽な存在に、戸惑う間もなく巻き込まれていく主人公。その姿に思わず共感しながらも、どこかコミカルな語り口にクスリと笑ってしまいます。亀、龍、そして蛸。出会うものすべてがスケールの違う脅威なのに、マイペースに受け入れてしまう主人公の適応力が頼もしくもあり、不安にもなります。
そんな中、異様に親切な(?)蛸との出会いが、物語を不思議な方向へと動かしていきます。何を考えているのかわからないその存在と、異世界での生存をかけてどう関わっていくのか、最後まで予測がつかない物語です。