自分の本当の気持ち…?

夢色ガラス

そんな奇跡みたいなことが、私を救った。

ある日のことでした。一生懸命勉強して、自信を持ってテストに望んだ次の日のことです。

そうそう、テストを見て、思わぬ点数に絶句していたあの日のことです。私が自分なりに勉強して、自分なりに頑張ったテスト。ですが思った通りには行かず、あまり良くない点数だったので落ち込んでいた私…。それでもその気持ちは押し込みました、八つ当たりは一番惨めだと思うから。


…ですが落ち込んだ私の姿を見た人達は、「そんな時もあるよ~、次は頑張ろ~っ」だなんて簡単に言うんです。必死に頑張ったのに。

私は「しょうがない、前日まで小説書いてたもんねーっ」と言ってふざけました。小説なんて書いていませんでした。テスト前日は自分のベストが尽くせるように自習していましたから。だけどそれを隠していたら、先生も友達もみんな、それだと成績伸びないよっと呆れたように言ったんです。私は頑張ったのに。嘘、なのに。

私は学校で友達と上辺だけの付き合いをしていました。女子とはベタベタして、男子とは軽口をたたきあって。自分を傷つけるようなことばっかり言ってウケをとったり。そうすれば相手は私よりも自分の方が上の位だと良い気になるからです。その甲斐あって、私はみんなのいじられキャラとして成立するようになりました。

バカにされることで私は平和に生きていました。苦しい、つらいよ、と感じている自分の気持ちにも気づかないで。気づかない、ふりをして。

そうすれば、私の言葉に、みんなは楽しそうに笑ってくれます。


ある日のことです。私は先生と一人の男子と、その男子が作った問題が書かれたノートを見ながら話をしていました。(…その先生には友達と表面上でしか仲良くできないことを相談していました)

…私が男子のノートを見た時ジョークで、「汚い字~!」と笑いました。先生は先日、その男子に「字が汚くて読めない~、綺麗に書いてよぉ」と言っていました。

だから言ったのです。私は本気でそう思ったわけではなく、先生ならそのジョークを「ね~」と笑ってくれると思っていたので、言ったのです。なのに先生は、「そういうこと言うから友達ができないんでしょう」と言いました。「ホントにありえない、最悪」とも言われました。一番信じていた先生だったのに。その先生だけが私の唯一の相談相手だったのに。私は友達も先生も何にも気づいてくれない親のことも信じられなくなりました。



「私、死んだほうがいいくらいバカだ~!」

という友達に対するジョークも、しばらくすると口癖になってしまいました。部活では「下手くそっ!」とみんなに笑われます。話をするたびに「キモイ」って言われます。だんだんこの世の中で息をするのがつらくなってきました。泣きたくても泣けません。寝る前にベッドに入るころ、私は次の日が来ることにおびえます。みんなが敵だったら。世界がもしかしたら嘘の存在だったら…。と、怖くて怖くて眠れなくなります。

そんな私には、大切な友達ができました。学校にいつの間にか通っている子でした。どういう事?って思いますよね。でもなんの前触れもなくいきなり現れたんです。転校生でもなく、不登校だったわけでもない。その子は突如私の前に現れた、いわば幻の存在でした。

彼女は私のことをよく分かってくれた私の一番の理解者でした。おかしなことに名前が思い出せないのですが、その子は髪の毛が長くて優しい女の子だったはずです。私の悩みも愚痴も相談もどんなことでも聞いてくれて、つらかったねって言ってくれる子でした。授業も受けていたはずですが、彼女は誰にも認識されていなかったことが後になって分かりました。私は彼女が大好きでしたが、みんなは幽霊なんじゃないか?と言いました。でも、そんなことはないです。断言できます。だって彼女はすごく繊細で、優しくて面白くて、そしてちゃんと触れることができたんですから。彼女はたまにおかしなことを言いました。

「神様は私を分かってるの」

「だから私はあなたのところに来れたんだよ!」

「どんなことでも分かってあげたい。私もそうされたように」

「神様は私と…それにあなたの恩人なの」

神様なんているはずがないと思っていた私は、彼女のしゃべり方と私への接し方だ、この子は私を見てた神様なんじゃないかなぁと思いました。だって彼女がいなくなってしまったことに私以外誰も気づいていないのもおかしいですよね…。彼女にはもう四年ほど会えていませんが、私が先生や友達に何か言われて落ち込んだ時には必ず声がするんです。夜、布団にくるまっていると、

「元気出して」

「あなたには私がいるよ~!」

「笑わないとダメだよ」

という声が聞こえてくるのです。聞き間違えなんかではありません。なぜなら、いつもは分からなくなっていしまう彼女の声色が蘇って分かるようになるからです。


最近は上手に笑えるようになってきていると思いますが、彼女には心配かけていないでしょうか?


私は彼女と過ごす時間が何よりも大切でした。だから、あの優しい大好きな女の子にまた会えたなら、私は感謝の気持ちを伝えるつもりです。そして、今私は頑張ってるよ。ちゃんと笑顔でいられてるよって教えてあげたいです。悲しいですが…今も友達とは深く仲良くすることができていないんじゃないかなと思います。本当は仲良くしたい友達がたくさんいます。自分の気持ちをはっきり伝えて、本物の『友達』を作りたい。それで、今を楽しく生きたいです。

                   <おしまい>










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