第4話
美術研究所に高1から通うなんて、お金持ちの家なのね…と事情通なら言ったかもしれない。たしかにああいう学校に通うのは、高2後半からが多かった。授業料が高いし、画材費も半端ない。公立校であっても、美大入試そのものを(金銭的な面で)諦める人は多いことだろう…ということも、ずっと後になって、大人になってから理解した。
でも、高1から通って、大学受験こそ、今度こそは、第一志望に合格したいと、高校に入学したばかりのころは本気で思っていたのだ。高校入試は敗残したけど、それは闘う相手を良く知らなかったことに尽きる。受験準備にもいろいろあって、早いうちから情報を集めて、第一志望にあくまで的を絞った過去問対策とかをしなければ、競争試験は勝てないのだ…。これが高校入試の失敗において私が学んだ教訓だった。
入学した高校は地方の公立校で、偏差値的には50かそこら、その土地では良くも悪くもなかったが、1人も友人が出来ず、入学後すぐに教室で孤立して、登校拒否になった。
美術研究所の講師たちは美大を卒業した若い造形作家が多かったが、金だけで高校生と付き合っている人たちだった。そして私のことを腹の底ではバカにしていた。
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